「中学生の息子、成績が悪くて…いったいどうしたらいいの?」
そう悩んで、ママ友に相談したり、夜中にスマホで色々と調べたりした経験がある親御さんも多いのではないでしょうか。
子どもにやる気が見えない。テストの点数も通知表の数字も悪い。
「このままで高校に行けるの?」
「将来ちゃんと働けるの?」
不安になって、手っ取り早い対策として“塾”を思い浮かべる方も多いと思います。
でも、現場で働いている立場からお伝えすると、
「塾に行った=すぐ成績アップ」ではない現実が、そこにはあります。
もちろん、塾が有効なケースもあります。
でも、それは「本人の姿勢」や「家庭の関わり方」が大きく影響してくるんです。
この記事では、
塾講師として、母親として、成績が伸び悩む子をたくさん見てきた経験から、
なぜ“塾だけ”ではうまくいかないのか、そして親ができる現実的な関わり方についてお伝えします。
「うちの子、このままで大丈夫?」と不安になっている方へ。
この記事が、少しでも“整理と安心”につながるヒントになればうれしいです。

中学生の成績が悪い子に塾が効かない理由
子どもの成績が下がってきたとき、まず「塾に行かせよう」と考える家庭は多いと思います。
実際、私の勤めている塾でも、
「通知表に1がついた」
「中3になってもやる気が見えない」
「高校受験が心配」
といった相談がよくあります。
でも現実には、「塾に入った=成績アップ」にはならないことが多くあります。
塾に通いはじめてからも成績が変わらず、焦る親御さんの姿をたくさん見てきました。
それはなぜか?
塾は「勉強を教えてくれる場所」であって、
提出物を出す習慣や、家庭での学習体制、本人の“姿勢”までは変えられないからです。
たとえば通知表の「1」を「2」にするためには、
テストで平均点を取る+提出物をしっかり出す+授業中の態度が一定ラインを超えている必要があります。
この中で、塾が直接関われるのは「テスト対策」くらい。
提出物や授業態度は、家庭でのサポートや本人の意識の問題になるため、塾だけに任せても限界があるのです。
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中学生の「オール2」が危ない本当の理由

「1をなくせればOK」「とりあえず高校に行ければいい」
そんな風に思う気持ちもわかります。
でも、実はこの“最低ライン”を目標にした結果、高校入学後にもっと大きな壁にぶつかるケースがあります。
たとえば、
- 高校に入っても授業についていけず、毎日がつらい
- 提出物が出せないまま、単位が取れずに留年の危機
- 学校に通えなくなってしまう
- 通っても意味がわからず、自己肯定感が下がる
これは「高校に行けたら終わり」ではないという現実を、私たちがちゃんと見ておかないといけない理由です。
塾で「オール2」は目指せても、
本人の“根っこ”が変わっていなければ、いずれまたつまずく。
だからこそ、「今どうするか」はとても大切なのです。
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成績が伸びる子・伸びない子の決定的な違い
塾に来たからといって、みんなが同じように伸びるわけではありません。
同じ時間、同じ授業を受けても、成績が伸びる子とそうでない子には明確な違いがあります。
成績が上がる中学生の行動パターン
- わからないことをそのままにしない
- 授業中の話を聞く姿勢がある
- 塾の時間以外にも、自分なりに復習や宿題をやろうとする
- 勉強を“自分のこと”としてとらえている(将来を見ている)
こうした子は、基礎が抜けていても、塾で補うことで着実に力をつけていきます。
自分のことを「このままじゃまずい」と思って行動できるからです。
塾でも変わらない中学生の特徴とは
- 授業を受けるだけで満足してしまう(“塾に行ったからOK”)
- 塾の宿題や課題を出さない、忘れる
- 自分から質問しない・わからないまま放置する
- 勉強=「誰かがやらせてくれるもの」と思っている
こうした子は、塾に通っても「自動的に成績が上がる」と思っているケースが多く、“受け身”のまま時間とお金だけが過ぎていくことになりがちです。
そして、実際に多く見かけるのが
「親は真剣だけど、子どもはあまり本気になっていない」というギャップです。
特に男子に多いのが、「のんびりしていて危機感が薄い」タイプ。
悪気はないけれど、成績や将来のことがまだ“自分事”になっていない。
その状態で塾に来ても、なかなか変化は起きません。
また、部活に熱中している生徒も、同じようなケースが多く見られます。
毎日の練習や試合に追われる中で、どうしても勉強は後回しになりがち。
中には、「この競技が強い高校に行きたい」と憧れを持っている生徒もいますが、
最近はスポーツ推薦でも一定の学力基準(内申や基礎学力)が求められることがほとんどです。
実際に、内申が届かずに憧れの高校を断念した生徒も何人か見てきました。
「頑張ってきたのに届かない」という現実を前に、悔しい思いをした子もいます。
塾は“魔法の場所”ではありません。
あくまで「自分で学ぶ力をつけるための“場”」であり、
その場をどう使うかによって成果は大きく変わってくるのです。
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成績が悪かった子が変わった親の関わり方

塾でたくさんの生徒と接してきて感じるのは、
「成績が上がる子は、本人だけでなく親の関わり方にも変化があった」ということです。
ここでは、実際にあったケースをもとに、親がどう関わったことで変化が生まれたのかをご紹介します。
提出物が出せない子への親のサポート実例
中2の男子。
テスト前になると塾に来ていたけれど、学校の提出物が出せずに内申は1のまま。
お母さんは「家ではまったくやらない」と頭を抱えていました。
あるとき、思い切って「まずは学校のワークを1ページだけやろう」と声をかけ、進捗表を作って書き入れてもらったところ、「今日はここまで終わらせた」という達成感を本人が感じられるように。
最初は手を添えていたお母さんも、徐々に見守るスタイルへ。
最終的には「1だった内申が2になった」と笑顔で報告してくれました。
「何をすればいいかわからない子」への見える化の工夫
中2の女子。
塾には真面目に通っていたものの、「何をやればいいかわからない」と勉強時間がうまく取れない子でした。
お母さんにアドバイスして取り入れてもらったのは、100円ショップのホワイトボードに「今日やること」を毎日3つだけ書くという方法。
「できたら消す」という作業で、日々の小さな達成感が積み重なり、徐々に自信がついていきました。
「勉強=ずっと机にかじりつくこと」と思っていた彼女が、「区切ってやればできる」と思えるようになったのは、大きな転機でした。
高校選びをきっかけに意識が変わったケース
中3の男子。
部活に熱中し、のんびりしていて、受験生という自覚がない。
親が何を言っても聞いてくれない。
そんな状態で、お母さんもほとほと疲れていました。
でもある日、「高校って、どんなところに行きたいと思ってるの?」と聞いてみたところ、「できればサッカー部があるところ」「駅から近いといい」という具体的な希望がポロッと出てきました。
そこからは、条件に合う学校を一緒に探して見学に行ってもらいました。
「ここ、けっこういいかも」と本人の中でスイッチが入り、少しずつ勉強への意識も変化していきました。
どのケースも、親が引っ張ったり怒ったりするのではなく、“やり方を少し変えた”ことがきっかけになっています。
そして大事なのは、「一人ひとり、親の関わり方にも正解はない」ということ。
でも、ほんの少しの声かけや仕組みの工夫で、子どもが動き出すこともあるんです。
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中学生の成績が悪いとき親ができる5つの対応策
「じゃあ、うちの子にはどう関わればいいの?」
ここでは、実際に効果があった・親御さんが取り入れてよかったと話してくれた具体的なサポート方法を5つご紹介します。
どれも「すぐできる・特別なスキルはいらない」ことばかりです。
成績表と内申の仕組みを親子で理解する
まずは「何が評価されているのか」を親子で一緒に知ることから。
多くの中学生は、通知表の“数字”の意味をよくわかっていません。
点数だけでなく、提出物・授業態度・関心などが影響していることを説明し、「どうしたら“1”が“2”になるのか」を一緒に考えてみましょう。
評価の仕組みを知ることで、目指す方向が見えやすくなります。
忘れ物・提出物を減らす親のサポート法
「出しなさい」「ちゃんとしなさい」だけでは変わりません。
苦手な子には、“出しやすい仕組み”を親が一緒に作ることが効果的です。
たとえば、
- 提出日をカレンダーに書いて一緒に確認
- ファイルの色分けや付箋を使って目立たせる
- 前日にカバンに入れるなど準備を早めにさせる
子ども自身が管理できるようになるまで、“伴走”する姿勢が大切です。
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勉強のやり方がわからない子への教え方
「やる気がない」の前に、「やり方がわからない」子がとても多いです。
いきなり難しい問題集をやらせるのではなく、
- 基礎レベルの問題集を1日1ページずつ
- 5分だけの漢字や計算ドリル
- 同じ問題を3回やる“くり返し型”の勉強
など、“できた!”の感覚を積み重ねる工夫が効果的です。
とくに男子は「一度で理解しようとする→できない→やる気がなくなる」パターンに陥りやすいので、小さな成功体験を重ねることが大切です。
成績の見える化で子どものやる気を引き出す
今の自分がどれくらいできているのか、どれだけ進んでいるのか。
これを目に見える形で確認できるようにするだけで、やる気に差が出てきます。
たとえば、
- 模試の偏差値や順位をグラフにする
- 勉強した日をカレンダーにマークする
- 英単語テストの得点を記録する
「できてない」と思い込んでいる子に、“意外とやれてる”ことを見せるのもモチベーションアップにつながります。
イライラしない関わり方への考え方の切り替え
うまくいかないと、ついイライラしてしまうのが親心。
でも、「やる気がない=ダメな子」ではありません。
- 疲れている
- やり方がわからない
- 何から手をつければいいか見えない
そんな“つまずきポイント”に気づいてあげることで、責めるよりも助ける姿勢に変わっていきます。
「怒る」のではなく、「やれる工夫を一緒に考える」
そう切り替えることで、親子関係も勉強の流れも、ずっと良くなります。
成績が悪くても変われる。親が今できること

「成績が悪い中学生」と聞くと、
「やる気がない」「だらしない」「このままで大丈夫?」と、親としては心配や不安がつきものです。
でも、塾に通わせればなんとかなる…と任せきりにしてもうまくいかないことも多く、
「結局何も変わらない」と感じてしまうご家庭も少なくありません。
そんなときこそ大事なのは、
子ども自身を責めるのではなく、今の状況を親子で“整理”してみることです。
- 成績が上がらない原因はどこにあるのか
- 塾をどう使うべきか、それとも家庭でできることがあるのか
- 子どもが本当に困っているのはどんなところなのか
成績の数字に一喜一憂するのではなく、
その裏にある「見えないつまずき」や「支えてあげたいポイント」に目を向けることで、少しずつ前に進めるようになります。
そして何より大切なのは、
今の成績が“すべて”ではないということ。
ただし、「放っておいてもなんとかなる」ものでもないということ。
親が少しだけ視点を変えれば、子どもも少しずつ変わっていく。
この記事が、そのきっかけになればうれしいです。