中学生の家庭学習

【中学生 不登校】都立高校の種類と入試方法|高校受験の選択肢まとめ

うちの子、中学校に通えてないんだけど高校はどうなるのかな…

不登校がそれほど珍しくなくなった今でも、親としては心配や不安が尽きません。

学校にまったく行けなくなった子もいれば、行ったり行かなかったりを繰り返す子、教室の雰囲気や人間関係が合わない子…。

理由はさまざまですが、共通するのは「親の気持ちが苦しくなる」ということ。

仕事をしながら昼食を用意したり、保護者会で周囲から声をかけられたり…心がふさがってしまうこともあると思います。

そして中学卒業が近づくと、「高校には行けるの?」「入試は受けられるの?」と、進路の壁にぶつかる家庭も少なくありません。

でも、東京都立高校には、不登校経験のある子でも進学しやすい制度や学校がいくつも用意されています。

しかも、高校は中学と違って選択肢が広く、自分に合った環境を探すことができます。
新しい環境に変わることで肩の力を抜いて学び直せる子も多いように感じます。

この記事では、不登校の子が選べる都立高校の種類と入試の仕組みをわかりやすく解説します。

進める道はたくさんあります!
親御さんが安心できる情報をまとめたのでぜひ読んでみてください

都立高校の校舎と後ろ姿の高校生(制服と私服の生徒)

この記事でわかること

不登校でも進学できる都立高校の種類/入試方法/学校選びのチェックポイントを、塾講師の実例を交えて解説。

高校の制度を整理しよう|全日制・定時制・学年制・学科の違い

都立高校には“全日制・定時制・通信制”といった種類がありますが、さらに“学年制・単位制”や“普通科・総合学科”といった仕組みの違いもあります。

制度の名称だけを見ても分かりにくいので、まずは基本的な違いを整理しておきましょう。

全日制と定時制の違い

  • 全日制:昼間に授業、3年で卒業、学年制が多い。部活・行事も盛ん。
  • 定時制:午前・午後・夜間の部に分かれる(多部制)。4年が基本だけど3年での卒業も可能。単位制の学校が多く、柔軟に履修可能。

時間帯を選べる定時制なら、体調や生活リズムに合わせて通いやすい!
中学で不登校があっても、無理なく続けやすい仕組みです。

学年制と単位制の違い

  • 学年制:学年ごとに必要科目をまとめて履修。不合格があると進級できない場合も。
  • 単位制:必要な単位を積み上げて卒業。科目選択が柔軟で、大学の仕組みに近い。

単位制なら“途中でつまずいてもやり直せる”ので、不登校で欠席が多かった子にも安心。

普通科と総合学科の違い

  • 普通科:国数英理社を中心に基礎学力を学ぶ。進学・就職など進路の幅が広い。
  • 総合学科:必修科目に加えて選択科目が多い。興味や進路に合わせて時間割を組める。単位制が多い。

総合学科は“自分に合った学び方”を選べるのが強み!
好きな科目から挑戦できることで、自信を持てるようになる子も多いはず

不登校でも通いやすい都立高校|3つの選択肢を解説

中学校の校庭を歩く中学生男子の後ろ姿

不登校だからといって「高校進学ができない」ということはありません。

東京都立高校には、不登校経験のある生徒を受け入れている制度や学校がいくつもあります。

代表的なのは次の3つ。

  • チャレンジスクール
  • 昼夜間定時制高校(単位制)
  • 通信制課程

それぞれ仕組みや入試方法に違いがあるので、順番に見ていきましょう。

▷成績不振があっても進学できる高校についてはこちらの記事で。

中学生の成績が悪いと都立高校はムリ? チャレンジスクール・専科・通信制まで徹底解説

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チャレンジスクール(定時制・総合学科)

チャレンジスクールは、不登校経験や中退経験がある子が、自分のペースで学び直せる都立高校。

授業は定時制・総合学科・単位制で、午前・午後・夜間の3部から時間帯を選べるため、生活リズムに合わせやすいのが大きな特徴です。

チャレンジスクールの主な特色

入試方法

学力検査はなく、作文や面接などで「学ぶ意欲」を重視。点数に自信がなくても受験できるのが安心です。
 
ただし人気が高く、倍率は高めで落ちるケースもあるため、併願や他制度(通信・昼夜間定時制)も並行して検討するのがおすすめ。

学習内容

基礎学習を大切にしながら、総合学科ならではの選択科目も用意。将来につながる職業系科目を選べる学校もあり。

サポート体制

スクールカウンセラーや教育相談が充実。心のケアに配慮したきめ細やかな支援を受けられます。

都立チャレンジスクール一覧と特徴

  • 六本木高校(港区)
     都心にありアクセスが良い。デザイン・マンガ創作・声優基礎など100以上の選択科目あり。
  • 桐ヶ丘高校(北区)
     少人数できめ細かな指導。「福祉・教養」「情報・ビジネス」「アート・デザイン」の3つの系列による専門科目あり。
  • 小台橋高校(足立区)
     国公立大学への進学希望にも対応できる「人文・自然系列」の科目あり。基礎学習からしっかり取り組める。
  • 大江戸高校(江東区)
     部活動が活発。授業は習熟度別や少人数制を取り入れており、学び直しや大学受験科目など100以上の講座あり。
  • 世田谷泉高校(世田谷区)
     小・中学校の内容を学習する選択講座あり。体育祭・文化祭・修学旅行など集団活動をする一斉登校日を年間約40日間設置。
  • 稔ヶ丘高校(中野区)
     運動系・文化系のあわせて約30の部活動あり。Ⅰ部・Ⅱ部・Ⅲ部に所属するどの生徒も1時間目から10時間目まで選択できる。
  • 立川緑高校(立川市)
     令和6年に竣工した新しい校舎。ファイナンシャルプラン・美容基礎・声優ナレーションなどの選択科目あり。

チャレンジスクールは倍率が高めなので“必ず入れる”わけではないのが難点。
でも、制度を知ることで“希望の道がある”と気づくだけでも親子にとって大きな安心になるはず。

昼夜間定時制高校(単位制)

高校の校舎

昼夜間定時制高校は、Ⅰ午前・Ⅱ午後・Ⅲ夜間の3部制で授業が行われる単位制の都立高校です。

自分の生活リズムに合わせて時間帯を選んで通えるのが特徴。

1日4時間の授業を受け4年間で卒業が基本ですが、履修の仕方によっては3年で卒業することも可能です。

定時制高校の主な特色

学習スタイル

単位制なので、自分のペースで必要な単位を積み上げて卒業できます。

入試方法

昼夜間定時制は学力検査があります。年度・部によっては不合格になることもあるため、第3希望まで含めて志望順や部の選択を検討し、最新の募集要項と倍率を確認しましょう。

対象と雰囲気

不登校経験のある生徒、働きながら通う生徒、学び直しを希望する生徒など幅広い背景の子が在籍。
落ち着いた雰囲気の学校が多いです。

都立昼夜間定時制高校(単位制)一覧と特徴

  • 一橋高校(千代田区)
     都心にあり通いやすい。体育祭や文化祭、修学旅行などの行事はⅠ・Ⅱ・Ⅲ部の生徒が一緒に活動する。
  • 新宿山吹高校(新宿区)
     無学年制を採用しており、1~4部の昼夜間定時制で1限(8:40)~12限(21:10)まで開講。
  • 浅草高校(台東区)
     部活動が活発。地域の特性を活かした『落語研究』や『伝統工芸』などの授業も選択可能。
  • 八王子拓真高校(八王子市)
     部活動が活発で、多くの部活が上位入賞。学科試験のないチャレンジ枠は、4年間クラス替えがなく不登校などの経験者向け。
  • 荻窪高校(杉並区)
     荻窪駅から徒歩5分。茶道・演劇入門・アニメーション基礎などの選択科目あり。
  • 砂川高校(立川市)
     泉体育館駅から徒歩3分。1日6時間の授業を受け3年間で卒業することを推奨している。

昼夜間定時制は学力検査あり。
志望状況は年度や部(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)で大きく変わるので、第3希望まで視野に入れておくと安心です。

通信制高校(都立の通信制課程)

家で勉強している高校生女子の画像

通信制高校は、自宅学習を基本とし、必要な日数だけ登校して授業(スクーリング)を受ける仕組みです。

全日制・定時制に比べて通学日数が少ないため、体調や気持ちに波がある子でも続けやすいのが特徴です。

主な特色

学習スタイル

レポート課題を提出し、定期的に登校して授業や試験を受ける。
学習ペースは比較的自由。

入試方法

前期・後期の2回選抜があり、学力検査を実施する学校もあります。調査書や作文・面接を含めた選考。
通信制は出願区分や選抜日程が毎年度更新されます。前期・後期などの区分や学力検査の有無は、志望校の最新募集要項を必ず確認してください。

対象と雰囲気

不登校経験がある子、仕事や趣味と両立したい子など幅広い。
年齢層も多様で、自分のペースで学びやすい環境。

都立の通信制高校

  • 一橋高校(千代田区)
     都心にありアクセスしやすい。通信制と定時制を併設しており、多様な学び方が可能。
  • 新宿山吹高校(新宿区)
     単位制・総合学科の全日制や定時制と並び、通信制課程も設置。幅広い選択肢が魅力。
  • 砂川高校(立川市)
     多摩地域にあり、自然の中で落ち着いて学べる環境。通信制課程でもサポート体制が整っている。

通信制は“登校日が少ない分、自分で学習を進める力”が必要。
ただ、塾や家庭学習と組み合わせれば大学進学を目指すことも十分可能です!

不登校から都立高校を目指す親のチェックポイント

  • 通学のしやすさを確認する
     距離や時間帯が合わないと続けにくい。自宅からの通学ルートや生活リズムに合う時間帯を選ぶことが大切。
     見学を兼ねて1回でも実際に足を運んでみるのがGOOD。
  • 卒業までの年数を確認する
     定時制は4年が基本だが、単位の取り方次第で3年で卒業できる学校もある。
     卒業までの見通しを持っておくと安心。
  • サポート体制をチェックする
     スクールカウンセラーや相談員が配置されているかどうか。
     心のケアや学習サポートがあると安心。
  • 入試対策を早めに始める
     作文・面接中心の学校が多い。
     「自分の言葉で意欲を語れる」よう、親子で少しずつ準備しておくとよい。

私が塾で関わった生徒の中にも、不登校を経験してチャレンジスクールを受験した子がいました。
最初は“作文なんて書けない”と自信がなかったのですが、面接練習や作文の書き方を一緒に準備していくうちに、自分の考えを少しずつ言葉にできるようになりました。
結果的に合格して、高校では新しい友達や先生と出会い、塾を続けながら大学進学を目指して学んでいます!

▷点数や出席だけで将来が決まるわけではありません。詳しくはこちらの記事で。

中学生の成績が悪い…将来どうなる?塾講師が見た“本当に大事な力”と親の関わり方

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不登校経験者の都立高校受験|制度・出願条件に関するQ&A

不登校を経験した生徒の都立高校受験には、チャレンジスクールや定時制・通信制など幅広い選択肢があります。

ここでは制度や出願条件について、よくある質問をQ&A形式でまとめました。

Q1:不登校でも都立高校の受験は可能ですか?

不登校でも受験できます。都立には昼夜間定時制・チャレンジスクール・通信制などの選択肢があります。
入試は学力検査以外(作文・面接)を重視する学校もあります。

Q2:都立チャレンジスクールの倍率はどれくらいですか?

年度や学校・部で変動します。
人気が高い傾向があるため、複数の選択肢を並行して検討しましょう。

Q3:内申点が低くても都立高校に合格できますか?

選抜方法は学校ごとに異なります。
調査書の比重が低い、もしくは学力検査を課さない学校もあるため、募集要項の確認が重要です。

不登校でも安心して選べる都立高校と入試方法まとめ

通信制高校の自宅学習をする生徒のイメージ

制度の名前を聞いただけでは複雑に思えるかもしれませんが、実際にはお子さんに合った選択肢が必ずあります。

ここまで整理した内容を踏まえて、親子で安心して進路を考えてみてください。

※学校の所在地・講座名・制度は年度によって変更があります。必ず最新の学校案内や東京都教育委員会の募集要項でご確認ください。

  • 不登校でも進学できる都立高校には、昼夜間定時制・チャレンジスクール・通信制の3種類がある
  • 制度の違い(学年制/単位制・普通科/総合学科)を知っておくと、子どもに合う学校を探しやすい
  • チャレンジスクールは人気が高く倍率も高め。複数の選択肢を考えておくことが大切
  • 通信制や定時制は、生活リズムや体調に合わせて学べる柔軟な環境
  • 入試は学力検査だけではなく、作文や面接など「意欲」を重視する学校が多い

不登校の経験があっても、高校進学の道はしっかり開かれています。
希望を持って高校探しを始めてみてください!

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ryoko221

家事・育児の効率化をテーマに、暮らしをラクにするアイデアを発信中。 主婦ライターとして教育・子育て分野でも執筆しており、実体験にもとづいたレビューが得意です。