中学生の家庭学習

【都立高校入試の仕組み】内申点・学力検査・推薦の流れをやさしく整理|親が知っておきたい基礎知識

「内申ってどう計算するの?」
「学力検査は何点満点?」
「ESAT-Jの影響は?」

都立高校の入試は“内申点+当日の学力検査(+ESAT-J YEAR 3)”というシンプルな枠組みですが、配点や換算は意外と分かりづらいもの。

この記事では、塾講師&母の目線で最初に知っておくべき基本をやさしく整理します。

仕組みが分かると、今どこに力を入れればいいかが見えてきます。

▷志望校の決め方やVもぎ判定の見方は、こちらの記事でくわしく解説しています。

【都立高校志望の決め方】VもぎC判定でも迷わない!親が知っておきたい“現実ライン”と併願バランス

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この記事でわかること

都立入試の全体像と配点(1000点+ESAT-J20点)
内申点(調査書点)の考え方と換算のキホン
学力検査との比率:7:36:4の違い
ESAT-J YEAR 3の対象・扱いのポイント
推薦入試と一般入試のざっくり違い、私立入試との比較

都立高校入試は「内申+学力検査+ESAT-J」で決まる

一般入試の基本は、内申点(調査書点)300点+学力検査700点=1000点満点

ここにESAT-J YEAR 3(英語スピーキングテスト)が最大20点加点され、1020点満点として扱われる場合があります(第一次募集・分割前期募集で活用。英語学力検査を行わない学校は対象外)。

項目配点メモ
学力検査(当日5教科)700点基本は7の比重(学校により6の比重を採用する場合あり)
内申点(調査書点)300点通知表の評定を各校ルールで換算して合算
ESAT-J YEAR 3+20点英語スピーキング結果。活用しない学校もあり
合計1020点(ESAT-Jを活用しない学校は1000点)

比率は7:3(学力検査:内申)が基本。

一部の学校(芸術科・体育科・定時制など)は6:4を採用します。
必ず志望校の最新募集要項で確認を。

▷内申アップのコツを知りたい方はこちらの記事もどうぞ。

中学生の内申点を上げるには?提出物・授業態度・検定を味方にする方法

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都立と私立の入試の“ざっくり比較”

高校受験の勉強道具が置いてある机

「一般と推薦の違いは?」
「私立の単願と併願ってどう違うの?」

最初はこのあたりの用語だけでも混乱しますよね。
まずは全体像をつかみましょう。

ざっくり言えば、都立第一志望なら一般入試、私立第一志望なら単願推薦というパターンが多いです。

私立高校は、難関校を除けば多くの学校が推薦入試で大半の生徒を募集しています。
第1希望の学校に推薦で合格し、そのまま入学するケースが一般的です。

ただし、推薦は1校しか受けられないため、複数の学校を受験したい場合は一般入試を利用します。
人気校の一般入試は倍率が高くなる傾向があります。

一方、都立高校は一般入試では1校しか受験できません。
その前に行われる推薦入試もありますが、合格率はかなり低め。
そのため、ほとんどの受験生は「私立併願優遇で1校を確保し、都立一般に挑む」という形を取ります。

区分主な種類判定の材料時期の目安
都立(推薦)一般推薦/特別推薦(文化・スポーツ等/理数 等)内申・面接・作文/小論文・活動実績 等(学力検査なし)1月
都立(一般)第一次募集・分割前期募集学力検査+内申+ESAT-J(活用校のみ)2月本試験 → 3月発表
私立(推薦)単願推薦/併願優遇内申基準+面接 等(学校により学力試験あり)1月下旬(事前相談は12/15以降が一般的
私立(一般)一般入試/オープン入試 等学力試験中心(学校により加点や基準あり)2月中旬(地域・学校で差)

※私立の具体的な内申基準や方式は学校差が大きいので、各校の募集要項・個別相談で確認を。

入試シーズンの流れ(目安)

中3の2学期は、三者面談が2回(〜11月/12月上旬ごろ)行われる学校が多いです。

中3の2学期後半は、子どもだけじゃなく親も本当にバタバタ…!
進路や書類の準備で頭がいっぱいになりますよね。

この時期の面談では、都立・私立どちらを第一志望にするかを伝えるだけでなく、推薦や併願の条件確認も行われます。

特に私立推薦を考えている場合は、12月15日以降の事前相談に向けて、三者面談で「内申が足りているか」「条件を満たしているか」を先生と一緒に確認します。

事前相談って?

東京都では、12/15以降に中学校の先生と私立高校の先生が行う学校間の相談を「事前相談(入試相談)」と呼ぶのが一般的です。
単願・併願の出願基準(内申・出欠・検定など)に届いているか、受験可否合格可能性の目安を確認します(最終合否の約束ではありません)。

  • だれが:中学校⇄私立高校(学校により生徒・保護者同席の場合あり)
  • いつ:12/15以降
  • 持参:調査書・内申情報・出欠、模試結果等(学校指定)
  • 注意:単願は合格=進学が原則/併願は都立不合格時に入学の確約。方式・締切は学校で異なるため要確認。


※なお、保護者や生徒が学校説明会などで先生に直接相談するものは、一般的に「個別相談」と呼ばれます。



都立推薦を受けるなら、12月面談で意思を伝えておくと手続きがスムーズです。

主な動き
12月私立の事前相談(12/15以降)/志望校の最終見直し
1月都立推薦入試/私立推薦入試・合否発表/Vもぎ最終判定で出願調整
2月私立一般入試(中旬)/都立一般入試(下旬)
3月都立一般入試の合格発表

※年度や学校で日程・方式・配点は見直しがあります。最新の募集要項と東京都教育委員会の公式情報を必ず確認してください。

▷志望校の選び方や併願の考え方はこちらの記事でくわしく解説しています。

【中学生 高校受験】都立か私立か?子ども基準で選ぶ志望校の決め方

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内申点(調査書点)の仕組みを知ろう

中学校で勉強している女子中学生の画像

通知表の評定(5段階)を素内申と呼び、これを高校のルールで換算したものが換算評定・調査書点です。

12月上旬の三者面談で、2学期の内申点が伝えられることが多いです(5教科の合計と9教科の合計が一般的)。

内申が出るまでは「あと1が上がるかも」と淡い期待を持ちつつ、親もドキドキ…。
結果を聞いて現実を受け止めるのは、子どもだけでなく親も同じですよね。

都立志望の家庭では、この時期の結果をもとに最終的な出願校を絞っていく流れになります。

用語の整理

本記事では、

  • 素内申(通知表そのまま)
  • 換算評定(5教×1+副教4×2=65点/3教×1+他6×2=75点)
  • 調査書点(300点満点にスケール)

というように表記を統一します。
地域や塾によっては300点を「換算内申」と呼ぶことがありますが、混乱を避けるため本記事では調査書点と表記します。

素内申と換算評定・調査書点の違い

都立入試では、中学校の通知表にある9教科の評定(5段階)をまず合計した素内申をもとに、各高校のルールで換算評定(65点または75点満点)を算出します。

その換算評定を300点満点にスケールしたものが、入試で実際に使われる調査書点です。

区分換算評定方法調査書店
普通科など(5教科型)主要5教科×1 + 副教科4教科×265点満点 → 入試で300点に換算
専門学科・総合学科など(3教科型)主要3教科×1 + 他6教科×275点満点 → 入試で300点に換算

都立は副教科の比重が高いのが特徴。

提出物・授業態度・実技テストなど、2学期の取り組みがそのまま入試の得点に直結します。

同じ「1」を上げるなら、5教科より副教科のほうが伸び幅が大きいのがポイント。
換算の目安では、内申「1」は約4.6点/1000点相当。
副教科を1上げる=「2」換算になるので、約9.2点分の上乗せになります。

学力検査の仕組みと教科別の重み

学力検査は5教科(国語・数学・英語・理科・社会)で行われ、それぞれ100点満点のテスト結果を合計700点満点として計算します。
この点数が「当日点」として合否に反映される仕組みです。

一部の専門・芸術・体育科などは3教科(600点満点)で実施。

本番の学力検査点は、模試などの100点満点の得点を×1.4するとイメージしやすいです。
例:国語70点 → 70×1.4=98点(学力検査点)

学校によっては重点化(例:英数を1.2倍)を行うケースも。
志望校が重点化を採用しているかは、必ず募集要項で確認しましょう。

「ESAT-J YEAR 3」って何?

ESAT-J YEAR 3は、中3生対象の英語スピーキングテスト。

令和6年度からこの名称になり、結果はA〜Fの6段階。

第一次募集・分割前期募集で活用され、最大20点が加点されます(英語学力検査を実施しない学校は対象外)。

ざっくりポイント

  • 実施:11月中旬〜下旬/タブレットで個別実施
  • 内容:自己紹介・意見表明・質問応答など
  • 扱い:活用有無・換算の仕方は学校によって異なる

うちの子は英語5でも判定Bで落ち込んでいましたが、合格者を見るとBの子も普通に合格していました。
20点は大事だけれど、過度に引きずらないでOK。

推薦入試と一般入試の違いを整理しよう

都立は1月=推薦2月=一般の2チャンス。

特徴を押さえておきましょう。

区分選抜方法特徴
推薦入試内申・面接・作文(小論文)・実技など
※学力検査なし
総合成績で判定。倍率は高め(5〜8倍が目安)。合格なら進学が原則。
一般入試学力検査+内申+ESAT-J(活用校のみ)合格者の約8割を占めるメイン選抜。出願変更が1回可能。

推薦を受けるなら:「推薦対策と一般対策を並行できる」「不合格でもすぐ切替できる」タイプに向きます

無理に挑戦して一般対策が手薄になるのは本末転倒。
各家庭の性格に合わせて選びましょう。

わが家は、息子は作文のみの年だったので都立推薦を受験(不合格)。
でも一度会場を経験したことで、本番の緊張が和らいだようでした。
娘は競争が激化しそうだったので、一般一本に集中しました。

▷志望校を決める前に、高校見学の記事もチェックしておくと安心です。

【中3秋】高校説明会で見るべきポイント|志望校を決める前に親が確認したこと

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まとめ|仕組みがわかると戦略が立てやすい

都立高校の校門の様子
  • 都立入試は内申+学力検査+ESAT-Jで決まる
  • 副教科の比重が高いので、提出物・授業態度は合否に直結
  • 学力検査は5教科700点が基本(学校により3教科・重点化あり)
  • ESAT-Jは最大20点加点。活用校かどうかを確認
  • 推薦と一般の2チャンス。家庭のスタイルに合う戦略で

数字の仕組みがわかると、迷いが減ってやるべきことが見えてきます。焦らず、今日できる一歩から積み上げていきましょう。
※最新情報は東京都教育委員会と各校の募集要項で必ず確認を。

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ryoko221

都立高校受験を中心に、のべ300人以上を個別指導。 現在も大手学習塾に勤務し、家庭と教育の両面から“がんばりすぎない受験サポート”を発信中。 2人の子どもは偏差値60台の都立高校に合格。 家事・育児の効率化アイデアや、親がラクになる勉強サポート術をお届けしています。