家庭学習

成績が悪い子には、理由がある。塾講師として見てきた“親には見えない”こと

「なんでこんなに成績悪いの?」
「うちの子、やる気なさすぎじゃない?」

そう思ってしまう親御さんは、決して少なくありません。

でも、塾講師としてたくさんの生徒と接してきた経験から言えるのは、
成績が悪い子には、それぞれに“ちゃんと理由がある”ということ。

ただし、その理由はたいてい、親の目には見えません。
親の前では見せない顔、聞かせない本音が、子どもたちにはあります

この記事では、私がこれまで出会ってきた中学生たちの姿をもとに、
成績の裏にある「本当の理由」や「その子なりの事情」をお伝えします。

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彼女たち、彼らは今、社会に出て、親になり、それぞれの人生を歩んでいます。
成績が悪かった時期も、何もやる気が見えなかった時期も、
人生の中ではほんの一部分の風景でした。

子どもの“今”だけを見て、未来を決めつけないでほしい──
あのとき見てきたこと、そして今だからこそ伝えたいことがあります。

女子たちが見せてくれた“本音”と変化

私が教えていたのは、女子生徒が多くを占めていました。

若いころ、彼女たちは親には言えない話を、先生である私にはそっと話してくれることがよくありました。

その中で感じたのは、「成績が悪い理由」は、勉強が苦手とかやる気がないだけではなく、 本人たちなりの“向き合えない事情”があるということです。

たとえば──

  • 誰かと一緒じゃないと行動できず、勉強も友達と合わせてしまう(群れたがる)
  • やる気がないのではなく、「何のためにやるか」が見えていない(目標がない)
  • 先生の前では「やる気あります」と言うけれど、実際には手をつけない(逃げる)

こうした子たちは、口だけでやる気を見せる“ポーズ”をとるのが上手で、 こちらがどんなに声をかけても、どこか本気で向き合えない様子がありました。

けれど、ある時「保育士になりたい」「看護師になりたい」といった、 自分の将来を“職業”として描けるようになった瞬間から、変わる子が多かったのです。

もちろん、暗記が苦手だったり、理論が通じにくかったりと、勉強そのものが得意でないことは変わりません。
でも、実習や面接練習など“自分で動く力”が求められる場面では、 驚くほどの集中力と行動力を発揮するようになったのです。

大人から見れば、「甘い」「考えが足りない」と映るかもしれません。

でも、そんな彼女たちも、進路を意識したその日から変わり始めた── その瞬間を何度も見てきました。

大切なのは、「どうしてやらないのか」ではなく、 「この子が“やる気になれる瞬間”を、どう見つけてあげるか」なのかもしれません。

男子たちに見えた“評価されづらさ”と環境の影響

女子が“自分の本音”を隠してしまう傾向があるのに対し、 男子の場合は、「やっているのに評価されない」という難しさを抱えていることが多かったように思います。

あるとき、教師であるご夫婦の息子さんが、私の働く塾に通っていました。
成績が急に落ち始め、学校でも問題が起きたということで、親は厳しく対応しました。
スマホを取り上げ、交友関係を制限し、家庭でもしっかり叱っていたそうです。

ところが実際には、古いスマホをWi-Fiでつないで使い続け、 “悪い友達”とのつながりは残ったまま。 夜に抜け出して遊びに行くこともあり、結局、転校を決断されました。

男子はとくに、周囲の友達や環境の影響を受けやすく、抜け出すのが難しいことがあります。

そしてもうひとつ、大きな問題は、「まじめに取り組んでいても、そう見えない」ことによる“評価の壁”です。

たとえば、提出物も出している、授業も聞いている──でも、 「ノートがきれいじゃない」「先生への印象が悪い」「友達の影響で目をつけられている」 といった理由で、内申が伸びないことがありました。

一度「だらしない子」「反抗的な子」といった印象がついてしまうと、 どれだけ努力しても、なかなか評価に結びつかない。

そうなると、「どうせやっても意味ない」という気持ちが芽生えてしまい、 本当にやらなくなってしまう。

男子は、女子のように器用に振る舞えないぶん、 “誤解されたまま評価されない”という理不尽を背負いがちです。

それでも、周囲の大人が少し目を向けるだけで、 変わっていく子たちもたくさんいました。

親としてできることはこちらの記事で

子どもたちを信じるために、知っておきたいこと

私が見てきたのは、成績が悪くても、やる気が見えなくても、 ちゃんと自分の人生を歩いていった子たちです。

あの頃は目標もなく、宿題もせず、どうしたら勉強してくれるのかと悩ませていた子たちも、 今では社会の中でしっかり働き、家庭を持ち、親として生きています。

彼ら・彼女らを変えたのは、「やらせたこと」ではなく、 見てくれている人がいた”という安心感だったのかもしれません。

私自身、塾講師として全員を救えたわけではありません。
でも、生徒ひとりひとりに対して、成績だけではなく“その子自身”を見ようとしてきたことは、 今も自分の中で大切な経験になっています。

そして今、親となった私自身も、 かつて出会った生徒たちの親御さんの姿を思い出します。

子どもが不登校になっても、進路でつまずいても、 諦めずに塾に通わせ、家庭教師をつけ、夜な夜な話をして── どの親御さんも、精一杯子どもに向き合っていました

大変なときほど、「どう関わるか」に迷ってしまうものです。

でも、子どもはちゃんと見ています。

今できることは、評価や結果だけで判断せず、子どもの“姿”を見てあげること
それがきっと、その子の将来の自信と行動力につながっていくはずです。

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ryoko221

家事・育児の効率化をテーマに、暮らしをラクにするアイデアを発信中。 主婦ライターとして教育・子育て分野でも執筆しており、実体験にもとづいたレビューが得意です。

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