
えぇ?! また忘れたの!?
もー! 何度言ったら忘れ物しなくなるの?!

中学生のわが子が何度も忘れ物を繰り返すと、つい怒りたくなりますよね。
私も息子がそうだったので、よくわかります。
そして塾講師としても、同じように悩む保護者の方に何度も出会ってきました。
忘れ物が多い子どもを見ると、
「なんでこんなに注意力がないの?」「真剣さが足りないんじゃ?」と感じてしまうこともあるでしょう。
でも私は、忘れ物は“叱って直すもの”ではないと思っています。
それよりも、「どうすれば忘れ物が起きにくくなるか」という仕組みづくりを、親がサポートしてあげることが大切だと感じています。
実際、私自身も子どものころ忘れ物が多く、母に何度も叱られていました。
でもそのときは直らなかった。
社会に出て「困った」とき、ようやく自分で工夫しようと思えたのです。
忘れ物は「だらしなさ」や「やる気のなさ」ではなく、
環境と仕組みである程度、防げるもの。
今回は、自分自身の経験と子育て、そして塾講師として見てきた多くの子どもたちの様子から、
「忘れ物を“怒らずに防ぐ”ために、親ができること」をお伝えします。

忘れ物ばかりの中学生、親がイライラするのは当然です
何度も同じものを忘れる。
「前も言ったよね?」「この前も持たせたよね?」
中学生になってもそんなやり取りが続くと、
親だって疲れますし、つい声も強くなってしまいますよね。
私が塾で教えていた女の子も、忘れ物がとても多く、
毎回お母さんに怒られていたのを覚えています。
「いつになったらしっかりしてくれるのかしら…」と嘆くお母さんの気持ちも、
「また怒られる…」としょんぼりするその子の様子も、両方がとても印象に残っています。
責めても忘れ物は減らない。まずはその前提を持とう
実は、忘れ物って「ちゃんとしなさい!」「気をつけて!」で防げるものではありません。
もちろん「本人の意識」も必要ですが、
それだけで何とかなるなら、とっくに直っているはず。
特に中学生は、友だち関係、成績のこと、体の変化など、気になることがいっぱいで、
まだ自分を客観的に見る力も未熟です。
しかも、忘れ物をしても今すぐ大きな困りごとにならないことも多いため、
「次こそは気をつけよう」と思ってもすぐ忘れてしまうんです。
親が「何度言っても直らない」と感じるのは当然。
でも、だからこそ「どうしたら忘れ物が防げるか」を一緒に考えていくことが大事です。
怒られることで萎縮するより、工夫で成功体験を積めるほうが、ずっと成長につながります。
忘れ物=怠けではない!根性では防げません

忘れ物が多い子を見ると、「ちゃんとしなさい!」と言いたくなる。
でもそれは、本人の性格や気合いだけでコントロールできるものではないのです。
中学生はまだ“忘れやすい脳”で生きている
中学生って、一見もう大人びて見えるけれど、
実はまだ脳の“前頭前野”が発達途中。
この部分は「計画」「注意」「自己管理」を司るところで、
忘れ物を防ぐような“段取り力”や“気を回す力”が未熟なんです。
つまり、「わざと忘れてるわけじゃない」んですよね。
そこに加えて、友だち付き合い、部活、スマホ、思春期の感情の波…
中学生って、実は常にいっぱいいっぱいなんです。
そりゃあ、ハンカチやプリントのことなんて吹っ飛びますって…!
忘れたことにすら気づいていないこともある
これ、ほんっとうによくあります。
「忘れたことに気づいてない」
「あとから言われて“あっ”って思い出す」
「先生に言われて“え?そんなのあった?”」
…中学生あるあるです。
でもそれって、悪気があるわけじゃない。
むしろ、責められて「自分ってダメなんだ…」って落ち込んでしまう子の方が多い。
大事なのは、忘れ物を「性格ややる気のせい」にしないこと。
本人が困っていないように見えても、
その子なりに「なんでできないんだろう」とモヤモヤしていることもあります。
「大人の知恵」で支えてあげることは甘やかしじゃない
たとえば、私たち大人でも忘れ物を防ぐために
- リマインダーアプリを使う
- ポストイットを貼る
- 荷物を玄関に出しておく
- 「あとでやると忘れるから今やろう」と自分に言い聞かせる
…など、いろんな工夫をしてますよね?
だったら、中学生にも「道具」や「仕組み」を使っていい。
むしろ、それを一緒に考えるのが親の役目だと思うんです。
「注意すれば防げる」じゃなくて、
「仕組みと道具でラクに防げるようにする」
それが忘れ物対策のいちばんやさしいスタートです。
親としてやってよかった「怒らずに防ぐ」対策5選

忘れ物は、気をつけるだけで防げるものではありません。
でも、日々の工夫や道具の力を借りることで、かなり減らすことができます。
ここでは、私自身が家庭で実践して「これ、やってよかったな」と思った対策をご紹介します。
お子さんにぴったり合いそうなものがあれば、ぜひ参考にしてみてくださいね。
① 鍵は“つけっぱなし”が正解!リール&チェーンで物理的に固定
うちの息子はとにかく鍵を忘れるタイプでした。
最終的にたどりついたのが、「鍵をズボンのポケットにチェーンでつないでおく」という方法。
小学生のころからそれを徹底した結果、今では大学生になってもそのスタイルを貫いてます(笑)
娘には、防犯も考えて「鍵が見えないタイプのかわいいキーケース」をプレゼントしました。
ランドセルにもリュックにもつけられるし、リールでびゅーんと鍵を伸ばせるのも便利!
高校生になった今も、同じものを大事に使ってくれています。
鍵の忘れ物が多い子には、「鍵を持ち歩く」という意識よりも、
「鍵を体の一部のように固定する」ほうがうまくいくかもしれません。
② スマートタグやカード型紛失防止グッズを活用する
最近は、大人でも財布や鍵に「紛失防止タグ(スマートタグ)」を使っている人が増えていますよね。
子どもだって使っていいんです。むしろ、忘れ物やなくし物が多い時期だからこそ、こういったガジェットは“怒られずに済むお守り”になります。
例えば、カバンの中に入れておけばスマホで位置が確認できるカード型タイプや、
鍵に取り付ける小型のタグ型なども便利です。
塾で出会った女の子も、鍵を何度も忘れて毎回お母さんに怒られていたのですが、
スマートキーに変えたことで怒られなくなった、ということがありました。
…いや、そりゃ怒られなくなるよね、って話なんですが(笑)
③ 傘の取り違え防止に“目印”をつける
地味だけど忘れがちなのが、傘。
うちでは、何度も取り違えや置き忘れが起きたので、
持ち手に目印付きの傘カバーをつけるようにしました。
すると、それ以降一度も間違えが起きなかったんです!
目印があることで「これは自分のだ」と気づきやすくなるし、
周りの子ともかぶりにくくなるので、ほんのひと手間でも効果は大きいなと実感しています。
④ カバンに“お守りセット”を入れておく
忘れ物をゼロにするより、「忘れてもどうにかなる」が大事。
我が家では、子どものカバンに“予備セット”を入れるようにしていました。
- ハンカチ・ティッシュ
- 女子なら生理用品
- 小さめの千円札(非常用)
本人も安心できるし、友だちに貸してあげられる場面も増えて、
「忘れても大丈夫」=自己肯定感を守ることにもつながったと思います。
⑤ “考えなくても持てる”仕組みを作る
毎日「何がいるっけ?」と考えるのは、子どもにとって負担です。
だったら、“仕組み化”してしまうのがいちばん!
たとえば:
- 持ち物リストを玄関に貼る
- 必要なものは前夜のうちにランドセルの横に出しておく
- 定期・スマホなどいつも使うものは「定位置」を決めて必ずそこに置く
「自分で考えなさい」じゃなくて、
「考えなくてもできる状態を一緒に作る」というスタンスが、ストレスもミスも減らしてくれます。
忘れ物は成長とともに減っていく。だから今は「助ける」こと

「この子、ずっとこのまま忘れ物の多い子なんじゃ…」
そんな不安を感じたこと、私もあります。
でも大丈夫。忘れ物は“時期”の問題でもあるんです。
うちの息子も、昔はとにかく忘れっぽくて、「なんで何度言っても…!」と悩みました。
でも大学生になった今では、自分でバイトのシフトも管理し、持ち物も自分で工夫して準備するように。
もちろん今でもうっかりミスはありますが、それも本人なりに反省して、
「じゃあこうしよう」と対策するようになりました。
子どもって、自分で“困る”ことを経験して、ようやく本気で変わろうとする。
だからこそ、中学生の今は「困らないように親が手を貸す」時期だと割り切ってもいいんです。
怒って責めるのではなく、
「どうしたら忘れずに済むかな?」を一緒に考える時間が、
あとから子どもの力になります。
まとめ|怒らなくていい。“なくさない仕組み”を一緒に考えるだけでいい
忘れ物が多い子を見ると、ついイライラしたり、
「しっかりしてよ」と責めたくなったりしますよね。
でもそれで変わる子は、実は少ない。
だったら、仕組みと工夫でラクに防げる方法を整えてあげるのが、
お互いにとっていちばんストレスが少ないと思います。
本人の努力より、まず環境を整える。
できないことを責めるより、「できる方法を一緒に考えようね」と寄り添う。
そんな姿勢が、子どもにとっても「自分はダメじゃない」と思える安心感につながるはずです。
忘れ物にイライラする日々、私も経験してきました。
でも今、ふりかえって言えるのは、「あの頃、責めすぎなくてよかったな」ということ。
怒らないで済む方法は、たくさんあります。
道具も、仕組みも、そして“見守る”というやさしいスタンスも。
忘れ物に悩むすべての親御さんが、少しでもラクになりますように。