
テストの点数は悪くないのに、志望校の推薦基準に内申があと1足りない…
中学生の進路を考えるときに、避けて通れないのが「内申点」。
特に東京都の都立高校入試では、中3の2学期の成績がそのまま受験の内申に反映されます。
一方で私立は1学期を基準にしたり、他県では中1や中2からの成績を含める場合もあり、地域によってルールはさまざまです。
ただ共通して言えるのは、内申点はテストの点数だけで決まるものではない、ということ。
提出物や授業態度、生活習慣、さらには先生の主観が影響することもあり、「不確定要素が多い」のが現実です。
だからこそ、「中3の2学期で一気に上げよう」と狙うのはとてもリスクが高いんです。
余裕を持って1学期から取りにいくこと、確実に加点になる検定を前もって取っておくことが大切。
都立高校の場合、入試は1020点満点のうち300点が内申点。
内申1の差はおよそ4〜5点に換算されるため、「あと1足りない」で合否が分かれることも少なくありません。
この記事では、そんな内申点の仕組みや上げ方、そして家庭でできるサポートについて具体的にまとめていきます。

中学生が内申点でつまずきやすいポイント
では実際に、どんなところで内申点が伸び悩んでしまうのでしょうか。
テストの点数だけを見ていると「なんで?」と思うケースも少なくありません。
テストは取れているのに提出物で下がる
塾の模試や実力テストでは学年上位でも、内申は平均的…という子は少なくありません。
実際、息子の友達は塾の模試で偏差値65以上、学校の実力テストでは学年5位に入るほどの学力がありました。
それでも内申は38ほど(ほぼ「4」で、たまに「5」が混ざる程度)。
なぜかというと、実力テストは学校の評定に入らないからです。
学校で内申を決めるのは「定期テスト」「提出物」「授業態度」。どれだけ学力が高くても、提出物や日常の取り組みが不足していれば、内申点は伸びにくいのです。
もちろん、志望校に必要な最低限の内申が確保できているなら、無理をして「5」を取りにいかなくても大丈夫。
ただし「あと1、2足りない」という場面では、提出物の積み重ねが合否を左右することもあります。
先生の印象が内申に影響することも
「忘れ物が多い」「授業態度が消極的」という分かりやすい部分だけでなく、細かい要素が先生の印象に影響している場合もあります。
例えば:
- 普段の受け答えの態度
- 一緒にいる友達の種類や雰囲気
- 発表や授業中のちょっとした姿勢
こうした部分で「印象がよくない」と、どうしても内申点は伸びにくい傾向があります。
実際に「女子のほうが内申が取りやすい」と言われるのは、授業態度や提出物への取り組みがプラス評価につながりやすいからです。
副教科での姿勢も大きな差になる
美術・音楽・体育・技術家庭といった副教科では、テストの点数以上に「一生懸命取り組んでいるか」が重視されます。
特に男子は「やる気が見えない」と受け取られやすいため、ここで評定を下げてしまうことも少なくありません。
部活推薦やスポーツ推薦を考える場合でも、大会の成績より先に内申基準を満たしているかが問われることが多いです。
だからこそ「いま授業態度や提出物で頑張るのか、それとも行きたい高校を諦めるのか」という現実を伝えて、子ども自身の考え方を変えていく必要があるのです。
提出物で内申を落とさないために

内申点を決める上で、提出物はとても大きな割合を占めます。
「テストはできているのに成績が上がらない」という子の多くは、実は提出物でマイナス評価を受けていることが多いのです。
提出物は、学力を伸ばすためというよりも、「主体的に学習に取り組む態度」を評価するための材料。
そのため、出さないことはもちろん、出しても雑だったり期限に遅れたりすればマイナスになります。
出さないより“出す”を優先する
提出物は内容の正確さよりも、期限内に出すことが最優先です。
途中まででも、赤ペンで丸写しでも、きちんと仕上げて提出していれば評価につながります。
「出さない」ことが一番のマイナスになるので、まずは必ず期限を守る意識を持たせましょう。
提出用と勉強用を分ける
ワーク類は「提出用」に直接書き込むと、あとでテスト勉強に使いにくくなります。
そんなときは、提出前にコピーをとっておくのがおすすめです。
「提出用」と「勉強用」を分ければ、内申対策と学力向上を両立できます。
親のちょっとしたサポートで差がつく
提出物が苦手な子には、親が“仕組み”を手助けしてあげるのも有効です。
- 「今日の提出ある?」と声かけする
- わからないところはYouTubeやAIで一緒に調べて導入部分を手助けする
- 丸つけを親がやってあげる
- 提出物専用のボックスやファイルを作って導線を整える
こうした工夫は、全部を親がやるのではなく“できるようになる階段を一緒にのぼる”イメージ。
特に男子は「何をいつ出すのか」を把握するのが苦手な子も多いので、親が最初に仕組みを作ってあげることで習慣が定着しやすくなります。
▷提出物の詳しい工夫はこちらの記事で紹介しています
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授業態度や生活習慣も評価対象
内申点を決める観点のひとつに「主体的に学習に取り組む態度」があります。
これは提出物だけでなく、授業中の姿勢や学校生活全般の取り組みにも大きく関わります。
授業中の姿勢や発言
- ノートをきちんと取る
- 授業中に私語をしない
- 質問されたときにしっかり答える
- 小さなことでも発言や挙手をする
これらは点数化されるものではありませんが、先生が日々見ている部分です。
「なんとなく一生懸命取り組んでいる」姿勢がプラス評価につながります。
生活習慣の乱れも影響する
遅刻・欠席が多い、忘れ物が多い…こうした部分も積み重なるとマイナス評価になります。
勉強の出来不出来とは別に、学校生活を安定させること自体が内申点を支えるんです。
副教科では「姿勢」がさらに大事
音楽・美術・体育・技術家庭などの副教科は、テストの点数だけでは高評価を得られません。
「一生懸命やっている」「提出物や作品を丁寧に仕上げている」ことが重視されます。
副教科は都立高校入試で換算すると点数比率が高くなるため、ここで評定を落とすのは大きな痛手。
得意不得意に関わらず、“やる気を見せる”ことが最も評価につながる分野です。
▷忘れ物や提出物の習慣は、授業態度や生活習慣にもつながります
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テスト以外で差がつく「検定加点」を活かす

内申点は不確定な要素が多く、「努力しても思ったように評定が上がらない」というケースも少なくありません。
そんな中で、検定の加点は“受かれば必ずプラスになる”確実な方法です。
英検はおすすめの加点対策
東京都の私立高校の推薦及び併願優遇では、英検準2級以上で+1点の加点を認める学校が多くあります。
内申点は先生の評価に左右されますが、英検は合格すれば必ず成果が反映されるのが強みです。
実際に、私の勤務先でも「行きたい高校の推薦に内申があと1か2足りない」という生徒はよくいます。
でも「内申を2つ上げる」のは至難の業。4を5にするのは特に難しく、1学期や2学期の積み重ねが必要です。
一方で、英検準2級に合格すれば一気に+1。努力がそのまま形になるんです。
もちろん合格できないリスクもあります。
でも、英検の学習で身につけた単語や文法はそのまま定期テストや受験勉強に役立ちます。
「合格すれば確実な加点、落ちても勉強が無駄にならない」――この点で、検定は取り組む価値が非常に大きいです。
早めの受験がカギ
特に中3の2学期以降は、学校の勉強や入試対策で忙しくなり、検定準備に十分な時間を取れなくなります。
だからこそ、英検は中3の夏までに準2級を目指して受けておくのが理想。
「もっと早く受けておけばよかった」と悔やむ声は本当に多いのです。
▷英検対策についての詳しい内容はこちらの記事に書いてあります
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内申点だけに期待しすぎないことも大事
ここまで「内申点を上げる工夫」を紹介してきましたが、最後に大切なのは 「内申点に過度な期待をしすぎない」 という視点です。
東京都の中学校では、観点別評価(A・B・C)の積み重ねで評定が決まります。
しかし、Aが多くても必ず評定5になるとは限らないのです。
実際、私の子の中学校でも「3つ全部がAなら5」という単純な仕組みではなく、100%に近いAでなければ5にはならず、80%程度のAだと4になると説明されました。
また、1・2学期でAが多くても、3学期でBが入ると最終は4になるケースもあります。
こうした細かい基準は学校ごとに決められており、家庭からは見えにくい部分。
そのため「Aがたくさんあるのに、なぜ5じゃないの?」と納得できないケースは少なくありません。
もちろん先生方はできるだけ客観的に評価しようと努力されています。
でも、最終的には人が判断する以上、不確定な要素はどうしても残ります。
だからこそ「あと1上がれば推薦に届く!」と内申だけにかけすぎるのはリスクが高いのです。
今の内申で届く学校、1下がっても届く学校を必ず押さえておきましょう。
そして最終的には、一般入試でしっかり実力を出せる準備をしておくことが一番の安心材料になります。
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まとめ|内申点アップは小さな積み重ねから

内申点はテストの点数だけでなく、提出物や授業態度、生活習慣といった“日々の積み重ね”で評価されます。
そして、英検のように「合格すれば確実にプラスになる」要素もあります。
大切なのは、内申点を取る努力をコツコツ続けつつ、内申に頼りすぎないことです。
提出物を期限内に出す、授業中の姿勢を整える、検定に挑戦してみる――どれも小さなことですが、確実に評価につながります。
一方で、内申点には不確定な部分もあるため、「内申が上がれば…」と期待をかけすぎると苦しくなってしまいます。
だからこそ、現実的に「今の内申で届く学校」「1下がっても届く学校」を視野に入れながら、最後は一般入試で勝負できる学力をつけていくことが大事です。
親ができるのは、子どもが日々の行動を積み重ねられるように支えること。
完璧じゃなくても、少しずつできることを一緒に取り入れていけば大丈夫。
その積み重ねが、内申点だけでなく、子どもの未来の自信につながります。