中学生の家庭学習

【都立高校志望の決め方】VもぎC判定でも迷わない!親が知っておきたい“現実ライン”と併願バランス

志望校がだいたい決まり、模試の結果もいくつか出る中3の2学期。

親も子も、「このままこの高校に挑戦する?それとも下げる?」と迷うことが多いのではないでしょうか。

実際には、最終的な出願校は1月のVもぎ結果で決まる家庭がほとんど。

秋の段階ではC判定あたりをうろうろしている子が多く、第一志望校が安全圏で安心している子はあまりいません。

都立受験は内申+本番の点数で決まるため、「あと少しでB判定に届く」「過去問では手応えあり」など、ギリギリの判断が続きます。

この記事では、そんな時期に親がどうサポートすればいいかを整理します。

▷Vもぎの受け方や会場選び、当日の流れについての詳しい記事はこちら

【Vもぎ】親は一緒に行く?受け方・会場選び・何回受けるかまで体験談で解説

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この記事でわかること

都立志望を決めるときの“現実ライン”の見極め方/Vもぎ判定の受け止め方/都立×私立併願のバランス調整法/下げる判断を責めない親の関わり方/安全校を見学しておくべき理由

都立志望を決めたら、“現実ライン”を知るのが第一歩

志望校を考えるうえでまず大切なのは、「いまの成績でどの位置にいるか」を正しく把握すること

感覚だけで「もう少し上を狙えるかも」と思っても、都立入試は内申点と当日の点数の合計で決まるため、数字で見ておくことが欠かせません。

ここでは、都立受験の基本的な仕組みと、Vもぎ判定の見方をかんたんに整理しておきましょう。

都立入試の配点を知ろう(1000点+ESAT-J YEAR 3の20点)

都立高校の一般入試は、「内申点+当日の学力検査」=合計1000点満点が基本です。

ここに「ESAT-J YEAR 3(英語スピーキングテスト)」が最大20点加点され、1020点満点になる場合があります。

内訳は次のとおりです。

  • 調査書点(内申):300点
  • 学力検査(当日試験):700点
  • +ESAT-J YEAR 3(最大20点)

学力検査が7割・内申が3割という比率が基本で、学校によっては6:4(学力検査6・内申4)を採用している場合もあります。

なお、「ESAT-J YEAR 3」は令和6年度からの新名称で、中3生を対象にした英語スピーキングテスト。
第一次募集・分割前期募集で活用されますが、英語学力検査を実施しない学校(エンカレッジスクール、チャレンジスクール等)は対象外です。

※配点や反映の有無は学校によって異なるため、最新の募集要項を必ず確認してください。
※内申の計算方法(素内申・換算内申)や学校ごとの配点例は、別記事で詳しく解説予定です。

VもぎC判定は「まだ戦える」けど「安定しない」ゾーン

Vもぎの判定は次のとおりです。

  • A判定:合格可能性80%以上
  • B判定:60〜79%
  • C判定:40〜59%(届くかどうかの境界ライン)
  • D判定:20〜39%
  • E判定:20%未満

塾で多くの生徒を見てきた経験から言うと、一番悩むのはこの「C判定」。

中3の2学期は、第一志望がC判定という生徒がもっとも多い印象です。

10〜11月の段階でC判定なら、まだ伸びしろは十分。

これから学ぶ範囲も多く、実際に入試で使う「2学期末の内申」もまだ出ていません。
つまり、この時期のC判定はBやAに上がる可能性をしっかり残しています。

ただし、12月のVもぎまでに一度もBやAが出ていない場合は、そろそろ志望校を見直すタイミングかもしれません。

とはいえ、「もう少しでB判定に届く」「過去問では合格点が取れている」など、あと少しで届きそうだからこそ、下げる決断は本当に難しいもの。

だからこそ、焦らず冷静に「今の位置」「あと何点必要か」を数字で見える化しておくと安心です。

うちの子どもたちも、10月の時点で志望校の都立はどちらもC判定でした。

でも11月でB、1月でAに上がり、最終的に第一志望に合格。

C判定は「まだ可能性があるライン」なんだと実感しました。

都立第一志望×私立併願のバランスがカギ!

受験対策のためのノートやテキストの画像

「もし都立がダメだったら、どこに行く?」――ここを明確にしておくと、出願直前でブレにくくなります。

都立を第一志望にするなら、私立併願の位置づけを明確にしておくことがとても大切です。

以下の3パターンで考えると整理しやすいです

  • 併願校にも行っていいと思える場合
     → 都立で少し上を狙ってもOK。チャレンジする余裕がある。
  • 併願校にはあまり行きたくない場合
     → 都立は“確実に合格できるレベル”にしておくことが安心。
  • どちらにも決めきれない場合
     → どちらにも進めるように、内申をキープしておくのが理想。

内申が1つ下がるだけで、併願優遇が取れないこともあります。

「この内申なら、ここまでの学校が併願で取れる」
という情報は、秋のうちに塾や学校で確認しておくと安心です。

そして、併願校を「どうせ行かないから」と軽く見ないこと。

実際、都立が不合格で私立に進む子は毎年います。
「行くことになっても納得できる学校」を選んでおくのが大切です。

▷都立か私立か迷っている場合はこちらの記事をどうぞ

【中学生 高校受験】都立か私立か?子ども基準で選ぶ志望校の決め方

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親の関わり方で結果が変わる、“出願前の心構え”

1月が近づくと、Vもぎの結果や学校からの内申点が出そろい、親子ともに気持ちが揺れる時期です。

「どこを受ける?」「下げる?」「このまま行ける?」――そんな会話が増えてくる頃。

でも、この時期の声かけひとつで、子どもの気持ちは大きく変わります。

ここでは、出願前に親が意識しておきたい関わり方を2つの視点からまとめます。

「下げる判断」は失敗じゃない。責めずに受け止めて

1月のVもぎで現実を見て、どうしても“下げざるを得ない”ケースがあります。

ここで親が気をつけたいのは、「頑張らなかったから下げることになったんでしょ!」と責める言葉を言わないこと。

実際、受験期に成績を上げるのは本当に難しいです。

内申も、みんなが努力している中で上がるのはごくわずか。

模試の判定だって、がんばりがそのまま数字に出るとは限りません。

子どもは、誰よりも不安を感じています。

「このままで受かるのかな」「下げたくないけどどうしよう」――心の中は焦りでいっぱい。
それを“やる気がない”と誤解されてしまうのは、とてもつらいものです。

どの学校でも、入学後に本人が頑張れば未来は変えられます。

都立でも私立でも、“入った後の努力”が本当のスタートです。

親はそのスタートを「よくここまで頑張ったね」と受け止めてあげてください。

「下げないの?」と急かすより、“一緒に現実を見る”

逆に、親が心配のあまり「下げたほうがいいんじゃない?」と何度も口にしてしまうケースもあります。

もちろん、経済的な理由や通学距離など現実的な事情があるなら、話し合いは大切です。

でも、「ただ不安だから」という理由で繰り返し言ってしまうと、子どもは「信じてもらえない」と感じてしまうことがあります。

出願直前の時期こそ、本人が“自分で決めた”という納得感が大切です。

たとえ結果がどうであっても、自分で決めたという経験が入学後の頑張りにつながります。

親は「どうするの?」と急かすより、一緒に現実を見るパートナーでいましょう。

安全校を“見学しておく”のが意外な安心材料に

子供の高校受験について考えている母親のようす

志望校を下げるときに一番困るのが、「見たこともない学校しか残っていない」こと。

これは、毎年本当によくあるパターンです。

実際、12月~1月の出願直前になってから慌てて別の学校を調べ始めると、情報が少なくて不安になったり、「ここでいいのかな」と迷いが深くなってしまうこともあります。

だからこそ、秋のうちに“安全校”も2〜3校は見学しておくのがおすすめです。

いざというときに「ここなら通える」「雰囲気が合う」と思える学校があるだけで、気持ちがぐっとラクになります。

「安全校=行かない学校」ではなく、“選択肢を確保する学校”と考えるのがポイント。

見学しておくことで、下げる判断をする時にも迷いが少なくなります。

▷秋以降の高校説明会についての詳しい記事はこちらでどうぞ

【中3秋】高校説明会で見るべきポイント|志望校を決める前に親が確認したこと

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まとめ|受験は「うまくいくこと」より「立ち直る力」

ここまで、志望校の決め方と親の関わり方について整理してきました。

受験を経験した生徒をたくさん見てきて感じるのは、「うまくいったかどうか」よりも「その後どう立ち直ったか」が大事だということです。

最後にもう一度、親が意識しておきたいポイントをまとめます。

  • 志望校は「今の実力」だけでなく、「入学後に通い切れるか」を基準に考える
  • 都立第一志望なら、私立併願の位置づけを明確にしておくとブレない
  • 「下げる判断」は失敗ではなく、“次につながる選択”と受け止める
  • 「下げないの?」と急かすより、“一緒に現実を見る姿勢”を大切に
  • 安全校も2〜3校は見学しておくと、いざというときに落ち着いて判断できる

受験は結果よりも、その過程でどんな選択をしたかが大切。

都立でも私立でも、最終的に本人が納得して入学できれば、それが一番の成功です。

焦らず、見守っていきましょう。

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ryoko221

都立高校受験を中心に、のべ300人以上を個別指導。 現在も大手学習塾に勤務し、家庭と教育の両面から“がんばりすぎない受験サポート”を発信中。 2人の子どもは偏差値60台の都立高校に合格。 家事・育児の効率化アイデアや、親がラクになる勉強サポート術をお届けしています。