冬休みが近づくと、
「最近ゲームばっかり…」
「スマホが手放せなくて勉強しない」
「昼夜逆転がひどすぎて、朝起きられない」
そんな悩みを抱えるご家庭が一気に増えてきます。
うちの子も夜遅くまでゲームしてるから寝坊してばっかり
怒っても全然言うこと聞かないし、どうしたらいいのか…
実はこれ、どこの家庭でもよくある“冬特有の落とし穴”。
とはいえ、ただ禁止したり、厳しく叱っても逆効果になることが多いんですよね。
今回は、塾講師として多くの中学生を見てきた経験と、
私自身が子どもたちと向き合ってきたリアルな体験から、
冬に崩れがちな生活リズムとの向き合い方をまとめました。


この記事でわかること
- 冬に中学生の生活リズムが乱れやすい理由
- 成績が悪い子が冬にハマりやすい「ゲーム・昼夜逆転」の落とし穴
- ゲーム禁止が逆効果になる理由と、隠れてやらせないための工夫
- スマホの“使わせない”より効果的な、生活導線の整え方
- 忙しい親でもできる「5分だけの関わり」が生活を整える理由
- 成績不振の背景にある“生活×気持ち”の影響
- 日々の工夫で親子がラクになる考え方
成績の悩みには、学力だけでなく生活リズムの乱れ・環境の変化・心理的な負荷など、さまざまな要素が重なります。
冬は特に、生活リズムが乱れやすい季節。
まずはその背景を一緒に整理していきましょう。
冬はなぜ“生活リズム”が崩れやすいのか?
冬になると、どのご家庭でも「朝起きられない」「ゲームばかり」「夜に元気になる」といった生活リズムの乱れが増えますが、とくに成績が安定しない子ほど、この“冬のゆらぎ”の影響を受けやすい傾向があります。
生活の乱れはそのまま学習のリズムにも響くため、冬の過ごし方が後の学習ペースを左右してしまうこともあります。
でもこれは怠けではなく、季節そのものが崩れやすい条件を作っているからなんです。
まずはその理由を知ることが改善の第一歩になります。
① 寒さで朝起きづらく、1日のリズムがズレやすい
冬の朝はとにかく寒い。
目が覚めても、なかなか布団から出られない子も多いですよね。
とくに思春期は、体内時計が乱れやすい年齢+寒さによる負荷が重なるため、朝が苦手になりがち。
そして、「朝ズレる → 学校で眠い → 帰宅後だらける → 夜眠くない」
という悪循環になることもよくあります。
② テスト後の“気のゆるみ”が出やすい時期
2学期は大きなテストや行事が多く、子どもたちは想像以上に疲れています。
期末テストが終わると、どうしても“ちょっと休みたいモード”に入ってしまいがち。
これは悪いことではなく、むしろ自然な休息反応。
ただし、この「気のゆるみ」が長引いてしまうと、生活リズムがどんどん後ろにずれていきます。
「冬休みまであと少し…」という時期ほど崩れやすいのは、まさにこのせい。
③ 家の中で過ごす時間が増え、ゲーム・スマホに流れやすい
気温が下がると外遊びが減り、部活も控えめになり、家で過ごす時間が増えます。
すると自然と、“ゲームやスマホに手が伸びる時間”が長くなるんですよね。
外で体を動かせば自然と疲れて眠くなりますが、室内での娯楽は気分だけが盛り上がって、体が疲れにくい。
結果、「夜は元気 → 朝がつらい」
という冬特有のリズムになりやすい傾向があります。
④ 親も忙しく、声かけや生活サポートが難しい
冬はクリスマス・年末進行・仕事の繁忙期…
親の予定もパンパン。
それに加え予防接種だったり、体調不良での通院だったりが加わると、もう目が回る忙しさ。
余裕がなくなると、
- 声をかけるタイミングがない
- 気づいたら夜更かししている
- 宿題や提出物に目が届かない
といったことが起こりやすく、結果的に子どもの生活がズレていってしまいます。
ただしこれは「親が悪い」のではなく、誰でも同じ。
冬は“大人も子どもも生活が乱れやすい季節”なんだな、とまずは知っておくだけでも少し気持ちがラクになるかもしれません。
▷冬期講習を受けるべきか迷うご家庭はこちらも参考にどうぞ
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冬期講習、うちは受ける?受けない?|塾講師ママが本音で語る“やらない選択”と家庭でできる冬の勉強
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ゲーム禁止は逆効果?「隠れてやる」を防ぐ工夫こそ大事

冬は外で過ごす時間が減るため、どの子もゲームやスマホに気持ちが流れやすくなりますが、とくに成績が伸び悩んでいる子ほど、ストレスや疲れから“ゲームに逃げやすい時期”でもあります。
生活リズムが崩れると勉強に戻るハードルが一気に上がるため、ゲームとの距離感は“成績が安定しない子ほど”大切になってきます。
ただし「全面禁止」は逆効果になることが多いように感じます。
隠れてやる方向に行きやすいので、まずは“堂々と遊べる環境をつくる”ほうが生活は整いやすくなるかもしれません。
ここでは、ゲームと上手に付き合うために、家庭でできる“ちょっとした工夫”を紹介します。
① 全面禁止は「隠れてやる」習慣を生むだけ
ゲームを完全に禁止すると、一時的には減りますが、長続きしません。
多くの子は「どうやって親の目を避けるか?」という方向に頭が働いてしまいます。
すると、
- 親のいない時間にこっそりやる
- 深夜に布団の中でスマホゲームをする
- 嘘をついてでも続けようとする
といった“隠れゲーム”に発展しやすい。
これは信頼関係のズレにもつながりやすく、結果的に生活リズムがより乱れやすくなります。
息子は、私が隠したゲームのリモコンを探すのに異常な集中力を見せてました
あの能力を他に活かしてほしいと思ったものです…
② 居間で「堂々と」遊べる環境のほうが整いが良い
禁止するのではなく、「隠れなくていい場所で遊ぶ」スタイルに変えるだけで、生活のズレ方は大きく変わります。
たとえば、
- Switchやプレステは<居間のテレビ>で遊ぶ
- 親はゲーム中に細かく口を出さない
- 部屋にこもらず、家族の目に自然に入る場所で遊ぶ
これだけで「隠れてやる必要がない」状態が作れます。
ゲーム=悪者にしすぎず、安心して遊べる環境を作ることで、夜更かしや長時間プレイが落ち着きやすいケースは多いように感じます。
③ PCゲームは“のめり込み”やすいので慎重に
家庭用ゲームはまだ“遊び方に区切りがつきやすい”のに対し、PCゲームはどうしても負荷が大きくなりがちです。
とくに、
- APEX
- VALORANT
- LOL(リーグ・オブ・レジェンド)
などの「終わりの区切りが難しいゲーム」は、深夜帯まで続きやすく、生活リズムを直撃しやすいジャンル。
そのため、PCの導入時期はとても重要です。
家庭によって考え方はさまざまですが、PCは高校生からでも遅くないかな、というのが私の実感です。
大学受験があるなら、受験後に買うというのも一つの選択肢かなと思います。
もちろん本人との話し合いが必要ですが、これは実際に家庭でうまくいった例でもありますし、生活の安定を保ちやすい方法でもあります。
④ 「親が見ても口出ししない」ことで信頼が崩れない
ゲーム時間を管理しようとして、親がつい細かく言いたくなる気持ちはわかります。
でも、強く言いすぎると、子どもは“やめる”より“隠れる”方向に行きやすい。
そこでおすすめなのが、
- 「ゲームの記録やプレイ内容は見ます」と宣言する
- でも、見ても怒らない・否定しない
- 生活全体が崩れそうな時だけ静かに声をかける
という“ゆるい見守り”。
見ている=監視ではなく、「気にかけているよ」というサインになるので、子どもも安心しやすくなります。
スマホは“使わせない”より“触らなくてもいい生活導線”が有効
スマホは、ゲーム・SNS・動画など誘惑が多く、時間管理がいちばん難しいアイテムです。
「使わせたくない」「取り上げたい」と感じるのも自然な反応ですが、実は“スマホを触らなくても困らない生活導線を作る”ほうが、子どもの生活は安定しやすくなるかもしれません。
ここでは、家庭でできるスマホとの距離のつくり方を、できるだけストレスの少ない形で紹介します。
① 中学生までは“親がスマホを見る”と宣言するだけで十分
スマホを完全に自由にすると、SNSや動画など刺激が強いアプリにハマりやすくなり、生活リズムが乱れる原因にもなります。
でも、厳しく取り上げると、スマホゲームやSNSを「隠れて使う」方向につながってしまうことも。
そこで有効なのが、
- 「中学生のうちは、スマホは親が確認します」と最初に宣言する
- 実際に見ても、細かく注意しない
- 日常的な“監視”ではなく、寝る前に軽くチェックする程度
という“ソフトな見守り”。
宣言しておくことで適度な牽制になり、子どもも「隠れスマホ」になりにくくなります。
② 寝るときは<居間に置くルール>が一番続く
寝室にスマホを持ち込むと、どうしても寝る直前に触ってしまい、睡眠の質も生活リズムも崩れやすくなります。
そこで効果的なのが、
「寝るときは居間にスマホを置く」
というシンプルなルール。
親の前で取り上げるのではなく、家庭の習慣にしてしまえば、子どもも受け入れやすくなります。
うちでもこの方法がいちばん自然に続きました。
スマホを目覚まし代わりに使わないように、
目覚まし時計を別に買って使わせてました
③ スマホを奪うより“スマホ以外の楽しさ”を増やすほうが、うまくいきやすい
スマホを触る子の多くは、「暇」「孤独」「やることがない」状態のときに、動画やSNSに流れがちです。
逆に言えば、
- リビングでゲーム機を遊べる
- 家族と話せる空気がある
- 一緒にアニメやドラマを見る時間がある
- 休日にちょっとした予定がある
など、スマホ以外の“小さな楽しみ”が増えれば、自然とスマホ依存は減っていきます。
スマホを奪うのではなく、「スマホ以外に流れる娯楽」を家庭で作るのがオススメ。
④ 勉強のサポートが入ると、スマホに逃げる時間が減る
スマホ依存が強い時期は、実は“勉強のハードルが高すぎる”ことが原因になっている場合も多いです。
そこで、
- 宿題の丸つけを親が5分だけ手伝う
- 明日の道具や提出物を一緒にチェックする
- やることリストを親が少し手伝って作る
といった「ちょっとの助け」を入れると、勉強のハードルが下がります。
すると、勉強から逃げるための“スマホ時間”が減り、こちらが文句を言うことも減りました。
▷中2のお子さんはこちらの「冬から始める中3準備」もあわせて読むと整理しやすいです
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【中2の冬休み】何を勉強する?“0学期”につながる優先順位と親のサポート術
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忙しい親でもできる“小さな関わり”が、生活リズムを整えていく理由

「忙しくて子どもにかまってあげられない…」 そんなふうに感じている親御さんは多いものです。
でも、生活リズムが崩れやすい時期ほど、実は“長時間の関わり”より短い時間でも親の気持ちを感じられる関わりのほうが効果が出やすいことがあります。
ここでは、忙しくても無理なくできる“小さなサポート”がどう子どもを支えていくのか、そして「どうしても改善しない時期でも大丈夫」という視点をお伝えします。
① 短い時間でも“気にかけられている”が伝わると、子どもは安定する
親が忙しい家庭だからといって、子どもが勉強しない…そんな単純な話ではありません。
本当に大切なのは、“気にかけられている”と子どもが感じられるかどうかだと私は感じています。
そのために必要なのは、長い時間ではなく、ほんの少しの関わり。
- 丸つけを5分だけ手伝う
- 勉強道具を一緒に揃えてあげる
- 朝食を食べやすいものにしてあげる
- 高校見学には一緒に行く
- 話を聞くときは「いやいやじゃなく」聞く
こうした“小さな関わり”が積み重なると、子どもの気持ちが安定して、生活リズムも整いやすくなります。
「中学生だから一人でできるでしょ?」ではなく、中学生だからこそまだ親のサポートが必要だと考えます。
▷「提出物が出せない」悩みもセットで起こりやすいので、こちらを参考にしてください。
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中学生の提出物は内申点に直結!“出さない子”への親の支え方
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② どうしても改善しなくても大丈夫。調整力は成長とともに身についていく
ただし、どれだけ関わっても“すぐに改善しない子”もいます。
それは親のせいでも、子どもの怠けでもありません。
実際に、うちの息子もまさにそのタイプでした。
中学〜高校はゲーム・昼夜逆転との戦い。
高校3年生では昼夜逆転が悪化して学校に行けなくなったこともあります。
でも今は大学生になり、
- 必要な日は徹夜してでも行く
- 予定から逆算して寝る
- “まずい”と思った日は自分で調整する
というように、自分でコントロールできるようになりました。
中学高校でできなくても、成長すれば“整える力”は自然と身についていくことが多いです。
焦らず、お子さんのペースで見守ってください。

まとめ:冬の生活リズムが崩れても、親子で少しずつ整えていけば大丈夫
冬は、どうしても生活リズムが乱れやすい季節です。
ゲーム・スマホ・昼夜逆転など、子どもがハマるポイントが増える時期でもあります。
大事なのは、
「一度乱れたら終わり」ではなく、「戻せる仕組みを一緒に作ること」。
まずは親が焦らず、できるところから整えていくことが一番の近道。
今回の記事のポイントを、あらためて簡単に整理します。
今日からできる冬の“生活リズム回復ポイント”
- 冬は生活リズムが乱れやすいことを前提に、原因から整理する
- ゲーム禁止は逆効果。隠れてやらない環境をつくる
- スマホは“触らなくてもいい生活導線”に整える
- ルールは「結果」ではなく「やること基準」で決める
- 忙しい親でもできる“5分の関わり”が効果的
- 完璧じゃなくていい。ゆるく続ける仕組みにする
- 生活×気持ちが整えば、勉強への向き合い方も自然に安定する
▷生活リズムの乱れと同じく、忘れ物の悩みも“仕組み化”で楽になります。
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成績が悪いと「うちの子、何かあるのかな…」と心配になる時期もありますよね。
でも、能力や発達だけでなく、生活リズムや気持ちの波でガタッと崩れることは本当に多いものです。
私自身も、そして息子もそんな時期がありました。
何かしらの診断の有無に関係なく、日々の工夫でラクになる部分はきっと見つかると思います。
親子のペースで、できるところから整えていけば大丈夫です。
“生活の立て直しは、いきなり100%を目指さない”
これがいちばん長続きします。
あなたの関わりは、きっとお子さんの力になっています。
少しずつ、一緒に整えていきましょう。