中学生の家庭学習

中学生の成績が悪いと都立高校はムリ? チャレンジスクール・専科・通信制まで徹底解説

「成績が悪いと、高校に行けないんじゃないか…」

これは毎年のように親御さんから相談される不安です。

実際、通知表に「1」や「2」があると、親としては「この先どうなるの?」と焦りますよね。

でも実際には、勉強が苦手でも行ける高校はあるし、昔と比べ進学ルートも想像以上に多様化しています。

ただ一方で、親の「普通科じゃなきゃ」「商業はダメ」「せめてこのレベルの学校に」という昔ながらの感覚や世間体が、子どもを追い詰めてしまうことも…。

この記事では、塾講師としての経験と東京都教育委員会の公式データをもとに、

  • 都立高校の倍率の実態
  • 学力試験がない「チャレンジスクール」
  • 専門学科(商業・家政・農業など)の進路可能性
  • 通信制高校という新しい選択肢
  • 親の理想と子どもの現実のすり合わせ方

をまとめました。

「このままじゃ高校に行けないの?」と不安に思う方が、少し安心して子どもと話せるきっかけになればうれしいです。

都立高校に通う高校生の後ろ姿

成績が悪くても都立高校に行ける?実質倍率のリアル

東京都教育委員会の発表によると、都立高校全体の実質倍率はおおむね1.2倍前後

人気の学校は倍率が高くなりますが、1倍を切る学校もあります。

つまり「もし成績が悪いとしても探せば入れる高校がある」というのが現実です。

「行ける高校がない」という状況には、実際にはほとんどなりません。

また、出願後に発表される志望校ごとの倍率(1次倍率)を見てから、希望を取り下げて別の高校に再出願できる制度(出願変更)があります。

ただし、変更後に最終倍率で再び1倍を超える場合もあるため、“必ず入れる”と考えるのは危険。

制度を理解したうえで活用することが大切です。

▷志望校選びに悩む方はこちらの記事もおすすめ

中3の夏 勉強が手遅れ?志望校との距離を埋める現実的サポート術

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学力試験なしで入れる「チャレンジスクール」

高校の校舎の画像

学力試験がなく、作文と面接で入学できる都立の「チャレンジスクール」もあります。
(例:桐ヶ丘高校、稔ヶ丘高校、世田谷泉高校、大江戸高校など)

  • 受験科目は作文+面接のみ
  • 不登校経験や学習につまずきがある子も受け入れている
  • 少人数でサポートが手厚い

成績に「1」が多い子や、試験で点を取るのが難しい子にとっても、進路の安心材料になります。

▷不登校経験者の高校進学についてはこちらの記事に詳しく書いてあります。

【中学生 不登校】都立高校の種類と入試方法|高校受験の選択肢まとめ

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専科(園芸・家政・商業など)は“穴場”の選択肢

都立には「専門学科(専科)」があります。

  • 園芸高校:農業・造園など実習が多い
  • 家政高校:調理・服飾・保育など実生活に直結
  • 商業高校:簿記や情報処理など就職・資格に強い

子ども本人が興味のあることや、社会に出て役立つスキルを学べるのが大きな特徴。

「得意分野を伸ばす」という発想で見ると、新しい道が開けます。

通信制高校という選択肢もある

自宅で勉強している女子高校生の様子

「通信制高校」という道もあります。
(例:一橋高校、新宿山吹高校など)

  • 公立の通信制高校は、学費が年間数万円程度と安い
  • 私立でも助成金を利用できる場合がある
  • 登校日数は少なめで、自分のペースで課題を進められる
  • 芸能・スポーツ活動、アルバイトなどと両立する子も多い

一方で、課題やレポートは自己管理が必須。
実際に通った経験がある生徒からは「自律できる子には合う」「続けられない子には厳しい」という声がありました。

「成績が悪い=高校に行けない」ではなく、通信制という柔軟な道もあることを知っておいてほしいです。

親の“理想”が子どもを追い詰めることもある

「せめて普通科に行ってほしい」
「商業は恥ずかしい」
「こんな高校しか行けないなんて」

こうした“親の理想”や“昔の感覚”が、子どもを必要以上に追い詰めることがあります。

でも今は、高校の種類も進路も多様化しています。

大事なのは「親の理想を押しつけること」ではなく「子どもに合う高校を一緒に探すこと」です。

塾に入ればなんとかなる?親が意識すべき現実

自宅のリビングで悩んでいる母親の様子

受験学年になり成績が悪く「塾に入れればなんとかなるかも」と考えて、焦って駆け込む家庭もあります。

でも正直、中3から急激に成績を上げるのは難しいです。

受験がうまくいくケースは、子ども自身が目的意識を持ち、努力できたときだけ。

親が塾に任せるだけでは状況は変わりません。

親にできることは「進路情報を集めること」と「子どもが納得できる選択を一緒に考えること」です。

▷塾についてのくわしい記事はこちら。

成績が悪い中学生、塾に行ってもダメな理由と親が変えてうまくいった方法

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必ず高校見学・説明会に参加してから志望校を決めよう

最終的に倍率が低いから、あるいは成績が届かないからと、よく知らない高校を選んでしまうケースがあります。

でも実際に通い始めると「雰囲気が合わない」「通学が大変」「思っていた学校生活と違う」となり、結局辞めてしまう子も少なくありません。

だからこそ、「ここには行かないかも」と思っている高校でも、通う可能性があるなら必ず見学や説明会に参加しておくことが大切です。

たくさんの高校を見ることで、その子に合う学校の条件がだんだんと見えてきます。

進学はゴールではなくスタートですから、「簡単に合格できるか」より「通い続けられるか」を意識して志望校を選ぶことがポイントです。

▷高校見学についての記事はこちら

【体験記】高校見学で“見ておいてよかったこと・失敗したこと”を学年別に解説!

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まとめ|成績が悪くても進路はある。親のサポートで“卒業できる高校”を選ぼう

高校の校舎で入試を受けている中学生の様子

今回の記事でお伝えしたポイントを振り返ります。

中学校の成績が悪くても高校進学が可能な4つの理由は?

  • 都立の下位校は倍率が1倍を切ることもあり、「入れる高校は必ずある」
  • チャレンジ支援校は入試なし(作文+面接)で入学でき、学習面に不安がある子の受け皿となっている
  • 専科(園芸・家政・商業など)や定時制も選択肢となり、将来につながる学びを得られる
  • 通信制高校もあり、学費の安い学校や自分のペースで学べる学校もある

進路を考えるうえで親ができるサポート5つは?

  • 「どこにも行けない」という思い込みを捨て、まずは選択肢を広く知ること
  • 都立の倍率は1次発表後に志望変更が可能。1倍を切っている学校に変更すれば可能性を広げられる(ただし最終的に倍率が上がることもあるので要注意)
  • 志望校に関わらず、通う可能性のある高校は必ず説明会や見学に行くこと
  • ゴールは「合格すること」ではなく「その子が卒業できる環境に進むこと」
  • 子どもを追い詰める言葉ではなく、前向きに選択肢を一緒に探すスタンスを持つこと

成績がふるわなくて焦ると、「もう高校に行けないんじゃないか」と思ってしまうかもしれません。

でも実際には、都立も私立も含めてさまざまな進路があり、その子に合った道は必ず見つかります

大切なのは、「どんな高校なら合格できるか」ではなく、「その子が自分らしく過ごし、最後まで卒業できる高校はどこか」という視点です。

親が情報を集めて視野を広げれば、子どもも安心して未来を考えられるようになります。

焦らずに、一緒に“自分に合った高校探し”を進めていきましょう。

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ryoko221

家事・育児の効率化をテーマに、暮らしをラクにするアイデアを発信中。 主婦ライターとして教育・子育て分野でも執筆しており、実体験にもとづいたレビューが得意です。