
せっかく高い塾に通わせてるのに、全然成績が変わらない!
別の塾に変えてみようかな…
「塾に通っているのに成績が上がらない」──これは多くの中学生とその保護者が直面する、よくある悩みです。
でも、実はそれ、おかしいことではありません。
成績が目に見えて上がるには、時間と仕組み、そして“子ども自身の変化”が必要。
焦らず、ちょっと立ち止まって、いま本当に必要なサポートを一緒に考えてみませんか?
この記事では、塾講師として多くの中学生を見てきた経験と、親としての実感をもとに、「なぜ成績が上がらないのか」、そして「親が今できること」をお伝えします。

そもそも成績が「上がる」って、どういうこと?
「成績が上がる」と聞くと、テストの点数や通知表の数字を思い浮かべがちですよね。
でも実は、点数の変化には“見えやすい上昇”と“見えにくい上昇”があります。
たとえば、20点だった子が40点になると、見た目にはっきり「上がった!」とわかります。
でも、60点が70点になったときはどうでしょう?変化はあるのに、印象としては地味です。
それに、テストには平均点というものがあるため、60点で良い評価のときもあれば、70点でもあまり良くないこともあります。
学校の授業は週3回程度、塾は週1回。それだけで大きな差です。
授業に追いついていない子が、塾だけで補おうとしても、なかなか難しいのが現実なんです。
つまり、“成績が上がらない”のではなく、“上がりにくい状況”の中にいる、ということ。
内申という“見えない壁”に阻まれる

もうひとつ、成績を実感しづらくさせる大きな理由が「内申点」です。
内申はテストの点数だけでは決まりません。
提出物や授業態度、先生からの印象も大きく影響します。
特に「3」という評価はとても幅広く、たとえ70点台を取っていても「3」のままというケースは珍しくありません。
1学期に「3」だった場合、たとえ2学期で点数が上がっても、先生の印象や全体のバランスによっては評価が変わらないこともあります。
さらに3学期に85点を取っても、年間を通した判断になるため、最終的に「3」のままというケースも珍しくありません。
保護者の方が「半年も塾に通ってるのに…」と不安に思うのも当然ですが、実際には“いま努力していること”が数字として表れるのは、ずっと先かもしれません。
こんなケースもよくあります。よければあわせてご覧ください
成績別で見る「塾との付き合い方と限界」

成績と塾の相性は、実はかなり深い関係があります。
どんな学力層の子どもが、どのような塾のスタイルで成果を出しやすいのか。
ここでは、成績帯ごとに具体的な特徴と限界、塾の向き・不向きを見ていきましょう。
●成績4以上(偏差値55〜)
学校の授業はほぼ理解できていて、定着もしている状態。
集団塾でも十分効果が出やすく、力をつけていけば内申「5」に届くことも。
ただし、急激な伸びはしにくく、上昇カーブは緩やかです。
●成績3前後(偏差値40〜55あたり)
このゾーンが最も多いかもしれません。
この層の子どもは、テストの点が60点前後。
集団塾ではついていくのが難しくなることもあり、個別指導や長期休みに復習講座を入れて底上げが必要です。
ただし、時間とお金はある程度かかります。
●成績2以下(偏差値40以下)
もっとも成績が上がりにくい層です。
この層の特徴は、
- 穴だらけで何からやればいいか本人もわかっていない
- 授業が聞けない、理解が追いつかない
- 勉強習慣がない、机に向かえない
- 親に言われてしぶしぶ塾に来る
- 「塾に来れば自動的に成績が上がる」と思っている
塾に来ていること自体は素晴らしい一歩。でもそれだけでは変化は起きません。
週1回の個別指導だけでは成果は出にくく、「宿題多め」「自習で頑張って」はほとんど効果がありません。
やる気が育っていない状態では、“やらされる勉強”では成績は伸びにくいのです。
塾に期待しすぎていませんか?
「塾に行けばなんとかなる」そう思いたくなる気持ち、すごくよくわかります。
でも実際には、塾に行ったからといって、魔法のように成績が上がるわけではありません。
- 子どもが変わらなければ、塾に通っても成績は上がらない。
- 逆に、子どもが変われば、塾に行かなくても成績は上がる。
もちろん、塾側の対応に問題があるケースもあります。
- 説明のない費用が多い
- 子どもの様子を全然知らせてくれない
- 成績上位の子にしか目をかけない
そんなときは、無理に続ける必要はありません。
大事なのは、「その子に合っているかどうか」。
成績が上がらなくても「今日は塾で“わかった”って言ってた」とか、「最近ちょっと宿題やるようになってきた」など、
そういう小さな変化を見つけて、信じてあげることが何よりのサポートになります。
じゃあどうする?“今”親ができる3つのこと

ここまで読んで、「じゃあうちの子にはどうしたらいいの?」と感じた方もいるかもしれません。
目に見える変化が少ない中で、親としてどう関わればいいのか。
ここでは、“今できること”を具体的に3つにしぼってご紹介します。
① 点数だけで判断しない
たとえば、テストの点数が40→50→55→60…
こうして見れば確実に伸びている子も、60点の壁を超えないと“成績が上がった”と見てもらえないことがあります。
でも、その上がり幅はとても大きい成長。
小さな変化を見逃さずに、見守ってあげてください。
② 穴を見つけて埋めるサポートをする
塾に任せきりにせず、家庭での声かけや振り返りが大切。
- 「今日、前の単元って出た?」
- 「前にわからなかったとこ、どうだった?」
ちょっとした会話が、復習につながるきっかけになります。
③ 子どもの様子をよく観察する
- 楽しそうに通っているか?
- 「わかってきた」と言っているか?
- 宿題や提出物に取り組んでいるか?
これらは、成績よりもはるかに信頼できる“変化の兆し”です。
家庭での関わり方については、こちらも参考になるかもしれません
塾に通う or 通わない、判断基準は?

塾に通うかどうかは、子どもの成績だけでなく、生活リズムや家庭の方針、本人の気持ちによっても大きく変わります。
ここでは、塾に通うことで得られるメリット・デメリットを整理しながら、自分たちの家庭にとってどちらが合っているのかを見つけるヒントをまとめます。
塾に通うメリット
- 最新の情報が手に入る(受験内容、入試制度、模試手配など)
- 志望校相談や進路指導、入試後のケアがある
- 親にとっての安心感も
通わないメリット
- 費用がかからない
- 家庭のペースで生活できる
- 無駄な送迎・夜遅い時間の負担が減る
「塾に行かせないと不安」「周りが行っているから…」と感じることもあるでしょう。
でも、今の時代、家庭学習でも十分成績は上げられます。
大事なのは、「子どもが変わること」──そのきっかけを、塾に求めるか、自宅で見つけるか。
その選択をするのは、親である私たちです。
塾に行かないという選択もアリです。こちらの記事で詳しく紹介しています
成績よりも、“変化の兆し”を信じよう
ここまで読んで、「うちの子、全然成績が上がらない…」と悩んでいた親御さんの肩の力が、少しでも抜けていたらうれしいです。
成績というのは、すぐに結果に表れるものではありません。
数字に出なくても、家庭での勉強時間が少し増えた、学校の授業についていけるようになった、宿題を自分からやるようになった──そういった“見えにくい変化”が、実は一番大切なのです。
塾に行くことも、行かないことも、どちらも正解。
その子にとって必要な道を、一緒に考えて、一緒に歩んでいけたら、それがいちばんのサポートです。
- 成績が上がらないのは、普通のこと。
- 数字に見えない変化が、すでに始まっていることも多い。
- 小さな成長を見逃さず、必要なサポートをしてあげよう。
- 塾も手段のひとつであり、答えではない。
“焦らず・見守って・一緒に進む”──これが、成績が伸びるいちばんの近道かもしれません。