「うちの子、部活ばっかりで勉強なんて全然しない。このままで高校に行けるの…?」
こんな悩み、部活やクラブチームに打ち込む中学生を持つ親からよく聞きます。
もちろん、部活で頑張った経験はかけがえのない財産です。
ただ、現実的には「勉強をしない」ことのリスクも確かに存在します。
今回は元塾講師として生徒や保護者から聞いてきたリアルな話をもとに、部活と勉強のバランスについて考えていきます。

なぜ部活やクラブチームの子は「勉強しない」と言われるのか
部活やクラブチームで本気で活動している子は、練習・試合・遠征で毎日がいっぱい。
家に帰ってきたらクタクタで、机に向かう余力が残っていない…というのが本音です。
- 集団塾は練習で通えない → 個別指導に流れる
- でも遠征や大会で休むことも多く、講習にも出られない
- 結果として「勉強は手遅れ?」と不安に思う家庭が多い
「部活を頑張る=勉強しない」と見られがちですが、背景には時間と体力の制約があるんです。
▷部活で忙しく勉強できない子も、“まだ間に合う”方法はこちらで紹介しています
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スポーツ推薦・単願推薦の現実

「じゃあスポーツ推薦で高校に行けばいい」と思う方もいるかもしれません。
でも実際には、ここにもリスクがあります。
私が塾講師をしていた頃に関わったサッカー部の生徒の話です。
中3の秋、有名な高校の体験入部に参加し、顧問の先生から「推薦で入れる」と言われました。書類も揃えて準備万端。
ところが直前になって、もっと実績のある選手が来たために、その推薦は取り消しに…。
いわゆる「競技の実績だけで口約束のように決まる推薦」は、確実ではないという現実を目の当たりにしました。
結局その子は、別の高校で「基準となる内申点を満たしたうえで作文・面接」を受けて合格しました。
でもやはり選択肢はかなり限られていました。
つまり、「スポーツ推薦があるから勉強は不要」というのは大きな誤解。
むしろ 内申をとっておくことで、推薦の幅や選択肢が広がるんです。
▷推薦を確実にするためには内申点も大事。その上げ方はこちらで詳しく解説しています
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高校入学後に待っている現実
たとえスポーツ推薦で高校に進学できても、全員がプロ選手になれるわけではありません。
多くの子は「高校でも部活を続けながら、進学や就職を考える」ことになります。
- 強豪校では競技中心の生活になり、授業についていけない子もいる
- 成績が芳しくなくても卒業はできるケースが多いが、進路の幅は狭まる
- ケガや不調で競技を続けられなくなると、一気に居場所を失うこともある
「スポーツは財産」なのは確かですが、学力がないままでは、その財産を次に活かしにくいのです。
スポーツ推薦のその後の進路例(聞いた話から)

私が保護者や生徒から聞いてきた話をまとめると、進路のパターンは大きく分けてこんな感じです。
- 体育系・スポーツ健康系の大学に進学し、競技を続ける
- 実業団に入ったり、指導者を目指したりする
- 一般企業に就職(体力・礼儀・上下関係に強い点が評価されやすい)
ただし、スポーツ推薦で進学した子の中には「授業についていけず苦労した」「途中で競技を辞めて進路に迷った」という声もあります。
やっぱり、「スポーツ一本」でいくのはリスクが高いというのが現実です。
親ができる“最低限の支え”
「部活を頑張るなら勉強ゼロでいい」という考え方はとても危険です。
多くの親御さんは経験からそのことを理解していて、だからこそ子どもにも口うるさく伝えているはずです。
ただ、スポーツに夢中になっている子どもにとっては、その言葉がなかなか耳に入らないこともあります。
中には「勉強をしなければいけない」という現実に目をそむけ、スポーツに打ち込むことで安心しようとする子もいます。
では、親はどうすればいいのでしょうか。
ポイントは「全部をやらせる」のではなく、“最低限のライン”を支えてあげることです。
- 提出物と内申だけは落とさないように声をかける
- 毎日10分でもいいから、基礎科目(英語・数学)を続けさせる
- 「スポーツで推薦を狙うにしても、内申がなければ選択肢は狭まる」と現実を伝える
これだけでも、子どもの進路の幅は大きく変わります。
▷部活で忙しい子も、中3になれば志望校との距離を冷静に見直す必要があります
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まとめ|部活は人生の財産。でも“最低限の学力”も必要

部活やクラブチームで一生懸命頑張った経験は、子どもの財産です。
その努力や仲間との時間は、勉強では得られない大きな価値があります。
ただし、スポーツだけで高校進学や将来を支えるのは難しいのも現実。
推薦を狙うにしても内申が必要ですし、ケガや競技引退のリスクもあります。
だからこそ親としては、「部活を全力で応援しつつ、最低限の学力と内申を支える」ことが大切です。
スポーツは大事、でも勉強も大事。
両方を少しずつ支えることで、子どもは将来もっと自由に道を選べるようになります。